2008年10月22日(水)「しんぶん赤旗」

CO2減目標 企業任せ

政府 排出量取引制度を決定


 政府は二十一日の地球温暖化対策推進本部で、企業間で二酸化炭素(CO2)排出枠を売買する国内排出量取引制度を正式決定しました。同日から十二月中旬まで参加企業を募集し、同制度を試行します。しかし、今回の制度は、各企業の削減目標設定を企業の自主性に委ねるもので、CO2排出量の実質削減を保障しません。

 欧州連合(EU)で実施されている排出量取引は、排出量の上限を定め、これを守らない企業には罰金を科すもの。京都議定書に基づくEU十五カ国の削減目標(一九九〇年比で8%減)の半分近くを排出量取引で達成しようとしています。

 これに対して日本の制度は、削減目標設定は企業任せで、目標未達成への罰金もなく、規制の機能を果たせないものです。

 日本は、京都議定書で九〇年比6%削減を義務付けられています。しかし、その一部でも削減するどころか、逆に6%以上も増やしており、削減目標達成の具体的施策をもっていません。今回試行される取引制度も、この状況を変えるものではありません。

 産業界は、このような制度の試行にさえ、“企業ばかりが狙い撃ちにされる”と不快感を表明しています。

 もともと排出量取引は、EU型であっても、企業の排出量を削減する補助的手段にすぎません。日本が実効ある温暖化対策に踏み出すには、企業任せの「対策」の抜本的転換が求められています。



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