2008年10月22日(水)「しんぶん赤旗」

新テロ法延長案 衆院通過

自公強行に抗議、民主批判も

赤嶺議員が反対討論


 海上自衛隊のインド洋派兵を一年間延長する新テロ特措法改定案が、二十一日の衆院本会議で自民党と公明党の賛成多数で可決され、衆院を通過しました。日本共産党、民主党、社民党、国民新党は反対しました。衆院議員面会所には、衆院通過を強行した政府・与党に抗議する人たちが詰めかけ、同日の採決に手を貸した民主党への批判も聞かれました。二十二日に参院本会議で質疑が始まる予定です。


 採決に先立ち反対討論に立った日本共産党の赤嶺政賢議員は、海自の活動が、米国がはじめた報復戦争への支援であり、「憲法九条に真っ向から反する」と告発。戦争の行き詰まりのなかで、アフガニスタンでは、反政府勢力タリバンとの政治的和解に向けた動きが進んでいることを示し、「(派兵への固執は)国際社会の変化を全く見ないものだ」と述べ、海自の撤退を求めました。

 民主党提出の「対案」も採決され、日本共産党、自民党、公明党、社民党の反対多数で否決されました。

 同「対案」は、「復興支援」を口実にアフガン本土への自衛隊派兵を可能にするもの。常時・迅速な海外派兵をおこなう恒久法の早期整備も盛り込んでいます。

 討論で民主党の伴野豊議員は、「対案」を「最高、最良の案だ」と誇りました。

 自民党の木村勉議員は、「対案」について「重要な検討課題として議論すべき内容も含まれている。恒久法の制定につなげていくべきだ」と述べ、民主党と協議を進めていきたい考えを示しました。

政局優先/うそのようなスピード審議 各紙

 「あまりに拙速ではないか」(南日本新聞)、「うそのようなスピード審議である」(毎日新聞)―アフガニスタン戦争支援のための新テロ特措法延長案が十分な議論もないまま採決されたことに21日付の全国紙・地方紙でも批判が出ています。

 「民主党の事実上の審議放棄により、わずか二日の質疑で儀式のように終わった」。東京新聞は、採決に至った衆院テロ特別委員会の様子をこう表現しました。「政局優先『スピード採決』」と題した記事では、「深まらない議論に、海外で活動するボランティア団体などは『もっと議論すべきだ』と怒りが渦巻」いていると述べ、NGO(非政府組織)メンバーの怒りの声を紹介しました。

 「毎日」社説は、「民主党が、衆院解散の条件整備のため早めの処理を求めたからだ」「自衛隊を海外派遣する法案を解散の駆け引きの材料にする民主党の態度は本末転倒」と同党を手厳しく批判しました。

 琉球新報も、社説で「あまりに精彩を欠いた論戦だ」と指摘しました。

「憲法破壊」「平和解決に逆行」

衆院面会所

 「憲法を擁護すべき国会で憲法の破壊行為が大々的に行われていることに抗議する」。新テロ特措法延長案が衆院本会議で可決された二十一日、衆院議員面会所で審議を見守っていた人たちから抗議の声があがりました。安保破棄中央実行委員会、国民大運動実行委員会、憲法会議がよびかけた抗議行動です。

 「子どもたちなど無辜(むこ)の人々が戦争の犠牲になっていると思うと腹立たしい」と話すのは全教の高橋信一執行委員。「参院でも廃案めざして頑張り、総選挙で憲法九条を守り生かす勢力を大きく前進させたい」

 全労連の小松民子副議長は「平和的解決という世界の流れに逆行する時代錯誤の強行です。医療関係者として再び白衣を血で汚したくありません」。

 新日本婦人の会の女性(29)は「自民、公明はもちろん、採決に手を貸した民主党も許せない。総選挙で審判を下したい」と話し、全日本民医連の女性も「総選挙では憲法と国民生活を守るための意思を票に託して表明したい」と語っていました。

 日本共産党の赤嶺政賢、笠井亮の両衆院議員、井上哲士参院議員がかけつけ、井上議員は「参院で徹底審議し、廃案に追い込むために全力をあげる」と表明しました。



■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp