2008年10月16日(木)「しんぶん赤旗」

国連のテロ対策のとりくみは?


 〈問い〉ブッシュ大統領が対テロ戦争を口実に始めた戦争ではテロは減るどころかふえているといいます。こういうやり方ではない真のテロ対策が必要だと思いますが、国連のとりくみはあるのでしょうか?(埼玉・一読者)

 〈答え〉アメリカの対テロ戦争は、テロを減らすどころか、イラクやアフガニスタンにみられるように暴力とテロの悪循環を生みだしています。日本共産党は当初から、テロ報復戦争がテロと暴力の連鎖しか生まないことを強く警告してきました。国連を中心にした国際社会全体による包囲と「法にもとづく裁き」によって、テロリストの逃げ場が地球上のどこにもないという状況をつくりだし、国際テロリズムの根絶をめざすというのが党の主張です。

 2001年に9・11テロが起こるまで、国連は、テロ根絶決議をあげてはいたものの、具体化は各国まかせで、国際テロ全体に対処するしくみや専門の機構はありませんでした。

 9・11テロはこの状況を大きく変えました。国際社会のとりくみは、弱点や欠陥はあるものの、日本共産党が主張してきたような方向で大きく前進してきています。

 まず、01年9月に「テロとたたかう世界的とりくみのセンター」として「国連テロ対策委員会」が安保理のもとに創設され、テロ資金凍結など国際テロリストやテロ組織を包囲するための枠組みとテロ対処のしくみが整えられました。委員会の働きかけで、すべての国が自国のテロ対策について報告を提出し、各国のとりくみを国際的な協力を通じて強めていく足掛かりがつくられました。国際犯罪としてテロを取り締まる一番の法的基礎はテロ防止条約ですが、12あるテロ防止条約すべてに加盟している国が2カ国しかなかったのが、6年後の07年には91カ国にまで増えました。

 06年9月には国連として初めての包括的な対テロリズム戦略(「地球規模の対テロリズム戦略」)が国連総会で採択されました。これは、一貫した非軍事的な枠組みの中で、テロの土壌となる社会的経済的諸問題にたいする対処も含めて、テロリズムを根絶するための包括的な戦略を示したものです。この決議は、安保理主導という現在の国連の対テロ体制そのものがもつ問題点を克服して、総会主導で国際社会全体の一致団結したとりくみをつくりだすうえでも、重要な指針となるものです。

 このように、テロ根絶に向けた国際社会の政治合意やテロ対策のしくみづくりは、弱点はありつつも大きく進んでいるのに、テロ報復戦争が元凶になって、実際にはますます悪化しているというのが現状です。(小)

〔2008・10・16(木)〕


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