2008年10月12日(日)「しんぶん赤旗」
解説
G7行動計画
金融危機「爆発力」制御できず
先進七カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が「あらゆる利用可能な手段を活用する」などとした五項目の「行動計画」発表に、ニューヨーク株式市場は、相場のいっそうの下げで応じました。米国の住宅バブル崩壊に始まった金融危機の「爆発力」は先進国が協調しても制御できないことを改めて示したことになります。
住宅バブルの風船を膨らませ「爆発力」を高めたのは、市場に任せておけばうまくいく、という新自由主義路線による徹底した規制緩和と金融緩和でした。この経済状況を利用して大手金融機関は、自己資本をはるかに上回る借金を行い金融市場で運用。当局の監視の目が届かない金融商品を開発、販売しボロもうけしてきました。住宅バブルがはじけると、大手金融機関の保有する金融商品の値段が暴落しました。
大手金融機関に損失が拡大すると、金融機関の役割が果たせなくなります。銀行からの企業や家計、公務関係などへの融資が滞るようになり、借金をテコに消費を続けてきた家計は、ローンを組めない状態に落ち込んでいます。
日本のマスメディアは、金融機関への公的資金注入を焦点にしていますが、もはや金融機関だけの問題ではありません。すでに米国では大手自動車メーカーのゼネラル・モーターズ(GM)やフォード・モーターなどの巨大企業も経営不振に陥り、失業者も増えています。金融市場のパニックが実体経済に波及し、底無しの状態です。
日本の超低金利政策は、風船を膨らませ「爆発力」を高めました。投機集団は、日本でコストの掛からないお金を調達し、世界中に投資して荒稼ぎしてきたのです。米国のカジノ資本主義を助長してきた日本の金融政策の根本も問われています。(金子豊弘)
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