2008年10月11日(土)「しんぶん赤旗」

主張

新テロ法延長法案

徹底審議の上廃案にすべきだ


 衆議院テロ対策特別委員会で、海上自衛隊がインド洋で米軍艦船などに行っている給油支援を継続するための、新テロ特措法延長法案の趣旨説明が行われました。

 民主党は短時間での審議・採決を迫っており、自民・公明の与党とともに、十七日、二十日の二日間だけの審議で採決、衆院を通過させる構えです。アフガニスタン政府をはじめ国際社会でアフガニスタン問題を戦争でなく政治的に解決せよという動きが一段と大きくなっているとき、アメリカの戦争を支援する悪法を強行するなど許されることではありません。

戦争で事態は悪化

 現行の新テロ特措法にもとづき、海上自衛隊は二月から八月までに、米英など八カ国の艦船に延べ四十四回、七千六百キロリットルを給油しています。テロ勢力の取り締まりが目的だと政府はいいますが、アメリカは自衛隊の給油支援をアフガニスタンでの「不朽の自由作戦」への支援だといっています。給油支援は明白な戦争支援です。

 今年一―八月だけでアフガニスタンの民間人が千四百人以上も殺されました。八月だけでも死者は三百人を超え、開戦以来最大となっています。民間人の犠牲が増えているのは、米軍が空母などからの空からの攻撃を強め無差別に殺りくをくりかえしているからです。攻撃はアフガニスタンでの民間人の憎悪を広げ、武力勢力を勢いづかせることにもなっています。その結果、地上戦での米軍をはじめ有志連合国の兵士の犠牲は増え続け、千人にせまっています。戦争でテロをなくせないことは歴然としています。

 給油支援によって戦争の一翼を担い、出口のない悲惨な戦争を支える自公政権の方針は、根本的に誤っています。陸上自衛隊をアフガニスタン本土に派兵するという民主党の対案も、戦争を直接支える危険な提案でしかありません。

 海上であれ、陸上であれ、戦争支援のための自衛隊の派兵は、戦争を放棄した憲法をふみにじる暴挙です。七年間にわたるアフガニスタンでのアメリカの戦争が出口のない行き詰まりに直面しているのに、軍事一本やりでしかものを考えないのは、戦争を続けるアメリカの窓からだけでアフガニスタン問題をみているからです。

 アフガニスタンのカリム・ハリリ副大統領は、アフガニスタン政府が旧政権勢力タリバンと手紙などを通じた和解交渉を開始したとのべています。エイデ国連事務総長特別代表は、軍事勝利はありえず「政治手段によるべきだ」とのべ、交渉による解決の方向を示しています。駐アフガニスタン英国大使も、外国軍の存在そのものが問題とのべています。

 戦争ではなく政治的・外交的解決のために何をするかを徹底議論することが、なにより重要です。

平和的解決へ転換を

 民主が自公に審議の促進を迫る新テロ特措法延長法案の異常な審議状況は、日米同盟強化を「第一」(麻生太郎首相)とする与党と、「第一の原則」(小沢一郎代表)とする民主党が文字通り、同質・同根であることを示しています。

 アメリカいいなりでは、アフガニスタン問題の平和的解決に貢献できないことは明白です。延長法案を廃案にし、自衛隊のインド洋からのすみやかな撤退と平和的解決への転換が急務です。



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