2008年10月8日(水)「しんぶん赤旗」

押しつけられた金利スワップ

三井住友銀が400万円返還

神奈川・被害の中小企業に


 三井住友銀行が融資と抱き合わせで不当に押し付けた金利スワップ取引の解約交渉で、中小企業が取引で支払った額の大半に当たる約四百万円を九月に取り戻しました。


 この企業は神奈川県でサービス関係業を営むA社。同社の役員、安藤正敬さん=仮名=は「被害にあった企業は銀行のいいなりにならずに声を上げて。不正は正せます」と語っています。

 金利スワップ取引については、三井住友銀行が融資側という優越的な地位を利用し中小企業に押し付けたとして、二〇〇五年十二月、独占禁止法違反で公正取引委員会から是正命令を受けていました。

 A社は〇四年十月、融資実行の前日に突然「今後の融資に有利になる」としてスワップ契約を持ち出され、十分な説明もないまま契約させられました。「明らかに融資の条件と示唆した」と安藤さん。昨年になって、A社が融資を別の銀行に借り換えるため契約の解約を求めたところ、契約満期までの取引を想定した“違約金”を含め解約金五百数十万円を請求されました。

 これにたいしA社は、同行がこの問題で公取委の是正命令を受けていること、契約は強要されたものであったことなどを訴え、支払った金の返還も求めて約一年粘り強く交渉しました。

 その結果、A社が契約で支払った額の大半に当たる約四百万円を返還し、解約金はゼロで、解約が成立しました。


解説

進まない違反調査

 金利スワップは融資と連動して融資の変動金利を固定金利に交換し、金利上昇の危険回避をうたう商品。しかし、実際は中小企業に多額の金利差額を一方的に銀行に支払わせるものでした。三井住友銀行の同商品販売については、公正取引委員会に続き、金融庁も〇六年四月、同行を行政処分。これを受け同行は謝罪のうえ、実態を調査し、被害企業の損害救済に真摯(しんし)に対応するとしていました。しかし、同行の調査は今年五月時点でも契約企業約一万八千社のうち15%しか行われていないことが日本共産党の大門実紀史参院議員の国会追及で明らかになっています。(大小島美和子)


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