2008年10月6日(月)「しんぶん赤旗」

EU、産休延長案

働く母の権利強化

14週以上 → 18週以上


 欧州連合(EU)の執行機関、欧州委員会は三日、女性労働者の出産休暇(有給)を現行の十四週以上から十八週以上に延長する指令案(法案)を発表しました。


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(写真)パリ市内の公園でくつろぐ妊娠中のパートナーをカメラに収める男性=4日(山田芳進撮影)

 この指令案は欧州全域で問題になっている少子化対策の一環です。今後、欧州理事会(各国の担当閣僚の会議)や欧州議会での賛成を得られれば、二〇一一年にも発効し、全EU加盟国が十八週以上の産休取得のための国内法改正をします。

 国際労働機関(ILO)の二〇〇〇年の勧告を受け、欧州委員会が検討していたもので、シュピドラ委員(雇用・社会問題・機会均等担当)は「職業と個人の家族生活のよりよいバランスを目指したい」と述べ、働く母親の権利強化を訴えました。

 指令案では女性には産後六週を含む十八週連続の出産休暇を保障しなければならないとし、一九九二年指令の十四週を大幅に延長しています。産後六週以外に産休を産前にとるか産後に追加して取るかは母親個人の判断に任されます。

 産休取得時や直後の解雇は禁止されます。また、産休後、職場復帰をする際には、これまでと同様の仕事が提供されなければならないとしています。

 十八週の産休中は給与全額を保障すべきだと勧告。各国が十八週以上の産休を与えた場合でも、産休期間は有給で、病気やけがをしたときの休業補償並みの給与は保障しなければならないとしています。

 欧州では各国で産休の期間はまちまちです。最長はチェコの二十八週で、英国も二十六週を保障。フランス、オランダ、スペインは十六週です。ドイツは十四週ですが、給与の全額が保障されています。

 ドイツのフォンデアライエン家庭相は、負担増を嫌う企業の対応に懸念を示し、「若い女性の雇用が制限されかねない」と述べ、企業が雇用差別をしないよう求める姿勢を示しています。


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