2008年10月2日(木)「しんぶん赤旗」
自民・民主が非難合戦
衆院 代表質問はじまる
麻生太郎首相の所信表明演説に対する各党の代表質問が一日、衆院本会議で始まりました。民主党の小沢一郎代表は、首相の所信表明への質問はほとんどせず、同党の政権公約を延々と発表。自民党の細田博之幹事長も冒頭から民主党批判をし、総選挙を意識した自民、民主両党の宣伝・非難合戦が繰り広げられました。
小沢氏は首相の所信表明演説について、「明確な理念もビジョンも政策も示されていない」と批判した上で、質問時間の大半を使い、政権公約を披露しました。
小沢氏は、「年金通帳の交付」や「子ども手当の創設」などを列挙。財源として、「特別会計、独立行政法人の原則廃止」などで二十・五兆円の新財源を確保すると述べました。しかし自公政治の大もとにある大企業中心、アメリカ言いなりの「二つの政治悪」には言及しませんでした。
小沢氏が「与党は政権を担う能力を失った」と指摘したことに対し、麻生首相は答弁で、「昨年十一月、(自民・民主の)大連立が崩れた時、小沢代表は『民主党はいまだ、さまざまな面で力量が不足しており』と政権担当能力がないことを自ら認めた」と、民主党批判を繰り返しました。
自民党の細田氏も冒頭から「(小沢代表は)強引な政治のイメージ」と民主党を批判。民主党の政権公約を取り上げ、「実現は、はなはだ疑問だ」と述べて財務相に答弁を迫るなど、異常な質問を繰り返しました。
一方で、細田氏は、「(自民党を離党した)小沢さんに付いて行った人は、民主党席に六、七人、この閣僚席にも三人いる。自民党に十五人いる」と述べ、互いに垣根がないことを問わず語りに語りました。
民主も「日米同盟第一」
「第一の原則は言うまでもなく、日米同盟の維持・発展だ」
民主党の小沢一郎代表は一日、衆院本会議での代表質問で、「外交・安全保障の基本方針」として、こう強調しました。
麻生太郎首相が所信表明演説(九月二十九日)で、外交の「原則」として述べたのも、「日米同盟の強化。これが常に、第一だ」。表現まで、似通っています。民主党の外交安保方針が、麻生・自公政権と同様に日米同盟最優先の立場にあることを示した形です。
麻生首相が「日米同盟と、国連と。両者をどう優先劣後させようとしているか」と迫ったのに対し、小沢氏は「日米同盟と国連中心主義とは、なんら矛盾するものではない」と力を込めました。日米同盟も国連も同じく大事だと主張したいようです。
しかし、日米軍事同盟=日米安保条約に基づき日本に居座る米軍は、イラクやアフガニスタンへ出撃し、罪のない民間人を殺りくしつづけています。日米同盟強化を理由にイラクやインド洋に送り込まれた自衛隊も、こうした米軍の作戦を支える役割を果たしています。
「国際紛争の平和的解決」「武力の行使・威嚇の禁止」という国連憲章の「平和のルール」に逆らっているものこそ、日米軍事同盟です。まさに「矛盾」そのものであり、小沢氏の主張は、日米軍事同盟が示す現実を覆い隠すものです。(田中一郎)

