2008年9月25日(木)「しんぶん赤旗」

麻生政権発足

侵略戦争を正当化、改憲派…

「靖国」派閣僚ズラリ


 新内閣の顔ぶれの最大の特徴は、日本の侵略戦争を正当化する「靖国」派内閣であることです。

 麻生太郎首相自身が「靖国」派の総本山である日本会議と連携する同国会議員懇談会(日本会議議連)の元会長であり、現在も特別顧問を務める人物。内閣には日本会議議連の役員が六人、会員が四人入るなど過半数を占める多数派です。

 麻生氏は二〇〇〇年十月の同会長就任時のあいさつで、「占領政策に端を発する戦後体制が国家を弱体化し、歴史を否定し、日本人から誇りを奪いつづけてきた」と戦後体制を敵視。「日本の歴史、伝統の上にたって日本のにおいがする日本らしい憲法をつくる方向に議論を高めねば」と復古的改憲を主張しました。

 二〇〇六年の自民党総裁選出馬にあたりまとめた政策文書「靖国に弥栄(いやさか)あれ」では、「靖国に天皇陛下のご親拝あれかし」と表明しました。

歴史教科書攻撃の急先鋒

 中川昭一財務相・金融担当相、中曽根弘文外相はともに日本会議議連の会長代行。石破茂農水相は相談役、法相の森英介、国土交通相の中山成彬の両氏は同議連副会長です。中山氏は歴史教科書攻撃の急先鋒(せんぽう)となってきた「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」の会長も務めます。

 改憲派という点でも中曽根氏は新憲法制定議員同盟の副幹事長、総務相に起用された鳩山邦夫氏は同副会長です。鳩山氏は昨年、法相の立場から「日本人自身の手で憲法を書き直す」と発言して批判を浴びました。

 右派・改憲議連の最高幹部が居並ぶ光景は「安倍内閣」を想起させます。

 教育基本法改悪を推進したメンバーもずらり。河村建夫官房長官は小泉内閣の文科相。中曽根、中川両氏と与謝野馨経済財政担当相は日本会議議連のもとにつくられた教育基本法改正促進委員会の幹部です。文科相に新任された塩谷立氏は、自らのホームぺージで改憲・教基法改悪を主張していました。

「対テロ」戦争 米国支援推進

 「対テロ」戦争での米国支援でも積極的に推進する体制を敷いています。防衛相に新任された浜田靖一氏は、元自民党国防部会長で石破元防衛相とともに、自衛隊海外派兵恒久法・試案(自民党国防部会防衛政策検討小委員会案)をまとめた中心メンバーの一人。同案では派兵を随時可能にするにとどまらず、海外任務の拡大、武器使用基準の緩和で海外での武力行使を容認しています。浜田氏は通常国会で活動を開始した与党恒久法プロジェクトチームのメンバーでもあります。

 総裁選の中で、麻生氏は石破氏の問いかけに答え「突発的に起こるかもしれないテロに即時に対応できるよう恒久法をつくるべきだ」とのべました。

 「靖国」政治の新たな持ち込みと海外派兵・改憲策動の強化で国民世論に挑戦する麻生内閣は、日本とアジアの平和世論と再び矛盾を激化させることは避けられません。(中祖寅一)



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