2008年9月19日(金)「しんぶん赤旗」
政府と野党 交渉へ
南米諸国連合の宣言反映
ボリビア
【メキシコ市=島田峰隆】南米ボリビアの野党勢力が反政府暴動を広げていた問題で、政府と野党は十六日夜、野党側が公共施設や幹線道路の占拠をやめ、両者間で対話を始めることで合意しました。南米十二カ国でつくる南米諸国連合の緊急首脳会議(十五日、チリ)の宣言を反映した合意内容で、地域の平和共同体の役割が注目されています。
政府は同日、多数の死傷者が出た北部パンド県の知事を殺害に関与した疑いで逮捕。野党は逮捕に抗議しており、従順に交渉に応じるか予断を許しません。
報道によると、合意は国連などとともに南米諸国連合を対話の「支援者」「立会人」と位置づけました。パンド県での暴動の調査実施も盛り込みました。
南米諸国連合が五月に締結した設立条約は、各国の「主権と領土保全」「平和」「民主主義」を主要原則に掲げ、南米での紛争予防と解決を目指します。ボリビアの事態は、その機能が試される最初の機会となりました。
「以前は単に抽象的だった南米諸国連合が、今ではそれ以上のものになっている」―英BBC放送は、ボリビアの事態への対応をこう評価する識者の声を伝えました。
緊急首脳会議は招集からわずか二日後でしたが、九カ国から首脳が出席。全会一致で宣言を採択しました。
チリのバチェレ大統領は、記者会見で「会議と宣言を通じて連合はより強固になった」と評価。ベネズエラのチャベス大統領は「南米は変わった。ボリビアでのクーデターを挫折させた。少なくとも挫折させ始めた」と語りました。
ベネズエラでは二〇〇二年、米国や財界が支援した野党によるクーデター事件が起きました。当時は南米諸国連合の前身である南米共同体もありませんでした。

