2008年9月15日(月)「しんぶん赤旗」

「しんぶん赤旗」主催 第39期将棋新人王戦

決勝3番勝負 18日から


 若手棋士最強の座を争う第39期将棋新人王戦決勝三番勝負は新鋭、佐藤天彦四段(20)と奨励会の星野良生(よしたか)三段(20)が対戦するという異色の組み合わせとなりました。両者は初手合いです。史上初の三段の新人王が誕生するかどうかが話題となっています。注目の決勝三番勝負は18日から始まります。


居飛車の佐藤四段か

独創的な星野三段か

 佐藤四段は奨励会三段の時に六十一年ぶりに行われたプロ編入試験(二〇〇五年)で瀬川晶司現四段の第一局の公開対局の相手を務めた経験(勝ち)の持ち主です。新人王戦は四回目の出場。三回戦では将来有望といわれている広瀬章人五段、準々決勝で前期新人王の村山慈明五段、準決勝で片上大輔五段と優勝候補を次つぎ下して初の決勝進出を決めました。どっしりとした懐の深い棋風の居飛車党本格派。将来のタイトル候補と期待される棋士で、今年度の成績は19勝4敗、勝率、勝ち星とも全棋士中第二位です(九月十三日現在)。

 星野三段は一、二回戦で三段を連破、三回戦以降は四段を次つぎと下して決勝進出しました。

 全四十二人の出場選手のうち奨励会三段は半数近くの十九人が出場しましたが8強に残ったのは初出場の星野三段ただ一人でした。

 奨励会三段の決勝進出は第二十三期(一九九二年)の石飛英二三段以来十六年ぶり二人目です。

 星野三段は棋士からの評価も高い「星野流」と呼ばれる独特の後手番振り飛車の使い手で、先手では居飛車も指しこなします。将棋界は四段に昇段して初めてプロとなります。現在はその修行中の身とあって受け答えも謙虚ですが、公式戦でプロの強敵を倒して勝ち上がってきたことは並々ならぬ実力を証明しています。

 逸材・佐藤に未知数の星野がぶつかっていく決勝三番勝負、若さあふれるたたかいが繰り広げられるでしょう。


自分らしい将棋を

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 佐藤天彦四段の話 今期トーナメントはきびしい対局が多かったのですが優勝を意識せず一局一局大事にたたかって幸運にも決勝進出ができました。星野三段は焦りのない腰が重い感じで独特の棋風を持っています。後手番の振り飛車などが出るのでしょうか。私は居飛車党なので対抗形で中・終盤のたたかいになるのかも。そういうたたかいのなかで自分らしい将棋を指して結果を出したいと思っています。

 【佐藤天彦四段】福岡市出身。中田功七段門下。2006年四段。


いい将棋指したい

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 星野良生三段の話 初出場の公式戦はいい経験になるかなくらいに思っていました。一回戦で苦しかった将棋に勝ったのが大きかった。決勝進出が決まった後に師匠から「がんばっていますね」という言葉を頂きました。三番勝負は注目される舞台なのでいい将棋を指したい。奨励会三段との対局はプロの先生の方がプレッシャーだと思います。決勝では相手にならない感じですが大差にならないようにしたい。

 【星野良生三段】埼玉県出身。西村一義九段門下、2006年11月三段。


観戦記者に聞く…見どころ

正統派との対決

 木屋太二さん 正統派の佐藤とドラマチックな星野の対決です。トーナメントでプロを破ってきた星野の実力に優勝候補の佐藤も油断はできないでしょう。星野の後手なら佐藤の対策も見もので、先手なら居飛車戦か。二局以上あるので両作戦とも見られるかもしれません。星野の攻め、二枚腰の佐藤の受けに期待したい。三番勝負にもつれ込んでほしいですね。

力将棋の対応は

 蝶谷初男さん 四段と三段の対戦となり、どうしても興味はそこにいきますが、三段の実力は四段と同等と考えてかまいません。それよりも内容に興味を向けるところで、星野の変則的な力将棋に佐藤がどう対応するか、そこを見てほしいと思います。オーソドックスな将棋にはならず、面白い将棋が期待できると思います。


3番勝負の日程

第1局 9月18日(木)
第2局  同25日(木)
第3局 10月14日(火)
場所はいずれも東京・将棋会館

図

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