2008年9月13日(土)「しんぶん赤旗」

大企業は「消費税を負担しない」とは?


 〈問い〉 消費税は「大企業が1円も負担しない不公平税制」といわれますが、なぜですか? 海外で生産している場合は?(大阪・一読者)

 〈答え〉 消費税は、買い物をするたびに5%の税率で課税されます。これ自体は、大企業が原材料を仕入れたり、機械設備を購入したりする場合も同様です。大企業は、仕入額に消費税5%を上乗せして「支払い」ます。しかし、消費税の場合、「支払う」ことと「負担する」ことは同じではありません。

 大企業は、仕入れた原材料や機械設備を使って生産した製品を販売しますが、その際に販売額に5%の消費税を上乗せして代金を受け取ります。そして、売り上げに上乗せして受け取った消費税と仕入れの際に支払った消費税との差額を、税務署に納税します。

 たとえば、原材料や機械などの仕入れ額が100億円で、製品の販売額が120億円だった場合、仕入れの際に支払った消費税は5億円、売り上げに上乗せして受け取った消費税は6億円となり、この差額の1億円を税務署に納税する仕組みになっています。問屋は小売店に販売するときに消費税を上乗せし、小売店は消費者に販売するときに上乗せします。最終的には、この6億円は全部、末端の消費者の負担になります。

 零細な商店などの場合には、価格を下げざるを得ず、実質的にはお客から消費税分を受け取れない場合もありますが、大企業の場合はそういうことはないので、自らが消費税を「負担する」ことはありません。

 海外で生産している場合は、その国にどのような消費税があるかどうかで違いますが、日本やヨーロッパなどのような「前段階控除型の付加価値税」の制度であれば、国内生産の場合と同様、消費税を負担することはありません。アメリカのように消費税が存在しない国で生産している場合は、当然、消費税の負担は生じません。アメリカで生産している企業が、日本から部品等の原材料を仕入れた場合にどうなるのかという問題がありますが、輸出品には消費税は課税されないので、在米企業が日本から原材料を仕入れる場合には、消費税を支払わないので、負担は生じません。一方、この原材料を輸出した日本の企業は、輸出品に上乗せできなかった消費税分は、納税額を軽減してもらえる仕組みがあります。仕入れの際に払った分より輸出軽減分の方が大きくなった場合には、税務署に納める消費税がゼロになったうえに、逆に税務署から消費税を還付されます。これが「輸出戻し税」です。大企業に対しては、どんな場合にも消費税負担が生じないようにする仕組みが講じられています。(垣)

 〔2008・9・13(土)〕


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