2008年9月13日(土)「しんぶん赤旗」
米軍攻撃
パキスタンが反発
首相“国境守る措置とる”
アフガニスタン駐留米軍によるパキスタン領での武装勢力掃討作戦について、パキスタン政府、軍が反発しています。
パキスタン紙によると、ギラニ首相は十一日、「国境を守るすべての可能な措置をとる」、「パキスタン領内でさらに攻撃するという米国のマレン統合参謀本部議長の発言に国民は動揺するべきでない」と述べました。ロイター通信によると、マレン議長は十日、米下院軍事委員会で「より包括的な戦略」が形成されつつあると証言し、パキスタン領内の作戦に言及していました。
パキスタンのキアニ陸軍参謀長(軍の最高司令官)が同日、米軍の越境攻撃について声明を発表。声明は、「国家の主権と領土保全はどんな犠牲を払っても守られるもので、いかなる外国軍隊もパキスタン領内での軍事作戦は許されない」、「(米国などの)連合軍がわが国の領土内で作戦をおこなうという合意や了解はない」と指摘しました。
アフガニスタン駐留米軍の特殊部隊は三日、パキスタン北西部南ワジリスタン地方を越境攻撃。女性や子どもを含む二十人が犠牲になったと伝えられています。キアニ氏の声明は、今回のような「無謀な」行動は国境地帯での過激派の活動をあおるだけだと警告しました。「対テロ戦争」の最前線で指揮を執る軍トップが声明を出すのは異例です。
ブッシュ米大統領が七月、パキスタン政府の事前了解のないまま、同国内での米軍特殊部隊の地上作戦実施を認める命令を秘密裏に下していたとの報道もあります。米国とパキスタン関係がいっそう緊張する可能性もあります。(宮崎清明)

