2008年9月8日(月)「しんぶん赤旗」

米国産牛肉

輸入再開後も違反12件

06年7月から2年間 同じ企業・工場も


 米国産牛肉の輸入再開から二年。しかし、BSE(牛海綿状脳症)対策のためとして日米政府で決めた輸入条件にすら違反する事件があとを絶ちません。その数は十二件にのぼっています。(今田真人)


 うち八件が国内業者による発見です。例えば、八月八日に厚生労働省と農水省が連名で発表した違反事件。輸入業者のジャパンフード(本社・東京都、日本ハムの子会社)が、七月二十四日に輸入した米国産の冷凍牛肉(肩肉)など二百九十八箱に、米国農務省発行の証明書のない輸入条件違反の肉(ひき肉)が混入していました。

 同社は輸入牛肉を、同じ日本ハムの子会社、日本ピュアフードに販売。千葉県船橋市の冷凍倉庫で日本ピュアフード社員が八月二日、箱を開封し、肩肉とは違う肉を発見。ジャパンフードを通じて当局に届け出ました。

 ジャパンフードは「牛の肩肉は焼き肉屋用として輸入している。加工するため、担当者がたまたま箱を開けて違反肉を発見した」(広報担当者)と説明します。

 国内業者が違反牛肉を発見したということは、厚労省と農水省の検査をすり抜けていたということです。

検査率は18%

 厚労省の担当者は「輸入時の検疫所の検査は、米国の対日輸出工場からの輸入実績を考慮した省内の規定で、届け出十回のうち一回の割合ですればいい。今回は、検査する回に該当しなかったので、肩肉と表示された箱は一箱も開けていない」(食品安全部企画情報課)といいます。

 農水省の担当者は「輸入時の動物検疫所の検査は、内規に従って二百九十八箱のうち五十五箱を開けて実施した」(動物衛生課)といいます。検査率は18%。残りの82%は箱を開けての検査は、まったくしていなかったことになります。

 その検査も(1)特定危険部位が除去されていること(2)二十カ月齢以下の牛の肉だと米国が証明していること――などを両省の検査官が業者の倉庫に出かけていって箱の中を目で確認するだけです。

おざなり調査

 今回違反が発覚した牛肉は、米国のカーギル社ドッジシティー工場が出荷したもの。同工場の違反は、二〇〇七年四月六日と同年十月十七日に次ぎ三回目。カーギル社の違反も、二〇〇七年五月の別工場の違反とあわせ四回目になります。

 日本政府はその都度、違反した出荷工場にかぎっての輸入を停止。「日本向けのすべての箱のコード(符号)を検知(スキャン)していなかった。次回からは全箱を検知させる」など、業者まかせで、おざなりな米国政府の調査報告書を待って、日本政府はすぐに輸入を再開してきました。

 しかし、米国側の同じ企業や工場が違反を繰り返しているのは、米国の輸出検査体制にも構造的欠陥があることを示唆しています。

図

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ずさんさに怒り

 全国食健連(国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会)の事務局長、坂口正明さん(57)の話 輸入再開後に相次いで違反事件が起きているのは、日米政府がみずから決めた基準自体、守ることができないことを示しています。そのずさんな対応に怒りさえ感じます。

 二十カ月齢以下で危険部位を除くという輸入基準は、もともと二〇〇四年十月に、日米政府が局長級会合を開き、米国の圧力に屈して政治的に決めたものです。科学的な安全基準ではなく、米国の大手畜産業界の利益を優先させた基準です。

 米国政府のやり方は、売る側の基準を買う側に押し付けるもので、乱暴きわまりないものです。普通、買う側がイヤだと言えば取引は成り立たないはずです。

 日本の国内基準は、肉骨粉をえさに入れないことを徹底させることを前提に、全頭検査をして、さらに危険部位を除くものです。それが日本の消費者が求めている安全基準だし、BSE根絶の道です。日本に牛肉を売りたいのなら、米国は日本の基準を守れといいたい。それができないのなら、全面的に輸入を中止すべきです。



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