2008年9月8日(月)「しんぶん赤旗」

ゆうPRESS

全学連が「学費・雇用黒書2008」

高学費に(T_T)


 日本の大学の学費の高さは異常です。全日本学生自治会総連合(全学連)は、学費軽減を求める運動の一環として、学生生活に与えている高学費の影響をアンケート調査し、冊子「学費・雇用黒書2008」にまとめました。(伊藤悠希)


東京都内の私立大学に通う学生は…

通学は片道3時間/週末バイトで疲れて

 今年から東京都内の私立大学に通う俊和さん(18)=仮名=は、千葉県の自宅から片道3時間かけて通っています。1時限の授業に間に合うためには午前5時半に家を出ます。家に着くのは午後9時ごろです。「電車で座れることはあまりないです。家に帰ると、疲れてしまい、気づいたら寝ていることもあります」

 実家は専業農家。俊和さんは将来農業を継ぐことを考え大学では品種改良を学んでいます。灌(かん)水作業に当たると集合は午前7時半。始発に乗っても間に合いません。遅れて参加します。

 3人きょうだいで、3人とも大学に通っています。年間300万円の学費が家計を圧迫します。俊和さんは学費を考え、国立大学を希望しましたが、不合格。4年制大学をあきらめ、短期大学を選びました。

 俊和さんは自宅近くのガソリンスタンドでアルバイトをしています。授業のない日と土日にバイトを入れていますが、通学時間の関係で思ったように働けませんでした。「1万円以上は家に入れたい」と話します。8月は大学の研修があり、バイト代は3万円ほどでした。「定期代に2万円。携帯電話代に約7千円。あと、食費を考えると、家に入れることができないですよ」

 俊和さんは全学連が呼びかけたアンケートを研究室の仲間に協力してもらい、幼なじみや高校時代の友達の話を聞いてきました。親が借金をして入学した人、弟が進学できなくなった人、大学に合格したのに奨学金が借りられずに進学をあきらめた同級生―。「進学できなかった友達に『大学、楽しい?』と聞かれても、楽しいとは言えない」と話します。

 「お金のことを考えなければ四年制大学に編入したいし、大学院にも行きたい」と話す俊和さん。親からは編入のことも言われていますが、その気遣いがつらいと言います。「就職したいという気持ちが強い」

減免制度を国の責任で

全学連書記長 平野 義尚さん

 学費負担軽減を求める署名集めや国会要請を行い、親や教職員などの団体と奨学金制度の拡充を求める「奨学金の会」を結成、シンポジウムを開いてきました。高学費による深刻な実態の認識が深まり、連帯が広がっています。

 署名の紹介議員は今回初めて野党4党に広がりました。学生の深刻な実態を正面から受け止めてくれるようになりました。繰り返し要請してきた結果だと感じています。

 東京大学では今年度から世帯年収400万円以下の学生の授業料が全額免除になりました。「黒書」にはこの制度のおかげで進学できたという声が寄せられました。経済的理由で進学を悩んでいる人をはげましています。

 東大のような制度を国の責任で全国に広げ、経済的困窮者の負担軽減制度の充実を求めたい。


写真

(写真)「学費・雇用黒書2008」

学費「高い」「やや高い」 85%

 全学連が呼びかけ、全国各地で学生自身が取り組んだアンケートには50学園1万人以上から声が寄せられました。「学費・雇用黒書2008」には、9千人分の声がまとめられています。学費が「高い」「やや高い」と答えた学生は85%を占め、親やきょうだいに迷惑をかけているという声が目立ちます。(図)


図

初年度納付金

国立80万円 私立130万円

 大学の初年度納付金(入学料・授業料など)は、国立で80万円、私立で平均130万円です。(図)

 そのため、アルバイトに追われ、生活費をきりつめる学生は少なくありません。

 こうした事態を招いた最大の原因は、政府の貧困な教育対策です。高等教育予算の水準(国内総生産に占める割合)は、OECD(経済協力開発機構)加盟国全体の平均1.0%に対して、日本は0.5%にすぎず、加盟国中で最下位です。

 一方で政府は、“学費は、教育で利益を受ける学生本人が負担する”との考え方で、どんどん値上げしてきました。

 日本共産党は、4月に「『世界一高い学費』を軽減し、経済的理由で学業をあきらめる若者をなくすために」と題する政策を出し、政府に授業料減免や奨学金制度の改善などを求めています。

図

お悩みHunter

人づきあいが苦手で苦痛

  人づきあいが苦手です。一対一で、気のあう人となら、まだしゃべれるのですが、何人か集まると、緊張して全く話せません。集団になると何を話していいか、分からないのです。

 休み時間やお昼休みが本当に苦痛です。

 (17歳 高校生 女子 新潟県)

あえて聞き役に徹してみたら

  高校生のころって友達との距離の取り方に悩む時期ですね。集団のなかでの自分のポジションを気にしたり。自分の発言に対しても周囲からどう思われてしまうのかが気になって緊張してしまうのでしょう。このために人付き合いに対する苦手意識があるのかもしれませんね。

 最近は「KY(空気が読めない)」なんて言葉がよく出てきますが、いまの時代はそれだけ集団のなかでの雰囲気づくりに神経をとがらせなければいけないのでしょうか。

 たしかに場の雰囲気を壊してしまうのはみんなの気分を害してしまうのでよくありませんが、でもそういう発言も「ドン」と受け入れてくれる関係も大事だと思います。

 気を使ってばかりだとおしゃべりも楽しくありませんし、むしろ苦痛だと思います。あなたにとって気のあう人というのは、あなたのどんな発言に対しても受け入れてくれる人なんでしょうね。

 でもいつでも気のあう人とだけ話をするわけではありません。もしおしゃべりのときに何を話していいか分からないときは、聞き役に徹してみてはどうでしょうか。話をよく聞いてくれる人ってとてもすてきだと思います。話すほうも気分がいいですし。そしてあなたが相手の言葉を受け入れることによって少しずつお互い気さくな間柄になっていくのだと思います。


第41代日本ウエルター級チャンピオン 小林 秀一さん

 東京工業大学卒。家業の豆腐屋を継ぎながらボクシングでプロデビュー。99年新人王。03年第41代日本ウエルター級チャンピオン。


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