2008年9月2日(火)「しんぶん赤旗」

福田首相辞意

「政治の中身の変革」が今こそ求められている


 「私が続けていって、国会が順調にいけばいいが、内閣支持率の問題もあるし、たいへん困難を伴うのではないか」

 一日夜の記者会見で、突然に政権投げ出しを表明した福田康夫首相。その言葉には、内政でも外交でも進退窮まった福田内閣の現状があらわになっていました。

 八月末に、定額減税を含めた「緊急総合対策」をまとめたものの、直後に内閣支持率が急落するなど、国民の支持は得られませんでした。与党内でも公明党に要求をごり押しされ、求心力の低下を示しました。

 七月のブッシュ米大統領との会談で密約したと報じられた新テロ特措法の延長も、国民世論の過半数が反対。解散・総選挙を前に、そうした世論の反発を懸念した公明党が再議決に首をたてにふらず、成立の見通しもなくしていました。

 福田首相自身、「内閣改造をしたときには重要な案件はなんとかしたいと意欲をもっていた」「その後のいろいろな政治の状況がある」と、改造後、急速に求心力を失った無力な姿を告白しました。

 しかし、この立ち往生ぶりは福田首相個人の問題ではありません。二代続けての政権投げ出し、しかも臨時国会の本格論戦を目の前にしての辞任自体が、何よりも自公政治の末期的な姿を示しています。

 国民生活をあらゆる分野で痛めつけていた小泉「構造改革」を加速もできず、転換もできなかった結果が二代続けての政権投げ出しという異常な結果になったのです。福田首相は「国民目線の改革」を強調したものの、社会保障の二千二百億円圧縮路線は継続、国民の怒りを買った後期高齢者医療制度も存続に固執しました。非正規雇用を増大させた労働の規制緩和でも、「日雇い派遣の禁止」は表明したものの、抜本的メスはいれられませんでした。

 首相は「積年の問題が顕在化し、その処理に忙殺された」とうらみ節をのべましたが、「構造改革」路線の転換もできず、「国民目線」はありえませんでした。

 もう一つは、アメリカいいなりで自衛隊派兵の継続に固執したことです。インド洋への派兵継続は、安倍前首相辞任の最大の理由ともなりました。その後、民主党との「大連立」で打開しようとしたものの破たん。選挙目当ての公明党の姿勢で衆院での再議決という強行手段も確実ではなくなっていました。

 福田首相は辞任会見でも新テロ特措法延長に固執しましたが、アフガニスタンの状況は、戦争でテロがなくなるどころか、最悪の治安状況に陥っていることを示しています。和平構築のための政治的解決に切り替えなければ、絶対に問題は解決できません。

 「私がやるよりほかの方にやっていただいた方がよりよくなるのではないか」。首相はこうものべました。しかし、内政・外交両面で現在の自公政治の路線にメスをいれない限り、だれが首相をやっても政治の行き詰まりは打開できません。

 首相の政権投げ出し劇が示したものは、国民を痛め続ける「構造改革」と、アメリカいいなり外交の転換という「政治の中身を変える」ことがいまこそ必要だということです。(藤田健)


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