2008年9月1日(月)「しんぶん赤旗」

義務教育 無償化へ

今月から都市部でも

授業料・雑費を廃止

中国


 【北京=山田俊英】中国全土の都市で九月に始まる新学期から、小中学校の授業料と雑費が廃止されることになりました。長年懸案だった義務教育無償化実現のため、農村部に続いて実施します。財源の手当てや雑費の解釈によって負担が一部に残る可能性がありますが、中央政府は地方への指導を強め、公平な教育制度を実現したいとしています。


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(写真)授業中、グループに分かれて古典劇を勉強する中学生=四川省成都市(山田俊英撮影)

 国務院(内閣)はこれまで一部の都市で授業料廃止を試行していましたが、七月に全国的実施を決定。九月実施に向けて財源を確保するよう八月十五日、全省、自治区、直轄市に通達を出しました。

 教育省の調査によると、いま各都市で徴収されている授業料と雑費は、児童・生徒一人当たり年間百九十―三百五十元(約三千―五千六百円)程度です。

 教科書代は、貧困家庭の児童・生徒は無料、ほかはこれまで通り自己負担です。

 一九八六年に制定された義務教育法で「義務教育は無償」と定められていますが、財源を中央、地方のどの機関が負担するかをめぐって曲折があり、ようやく二〇〇五年ごろから農村部で中央財政を投入して無償化が始まりました。

 今回の決定で財政責任は基本的に省レベルの政府が負い、実施状況に応じて中央財政から補助金を支出することになります。実施には各省、市の財源確保が課題となります。

 雑費については、補習費、校内試験の受験料、パソコン使用料、健康診断費などさまざまな名目で徴収されてきました。中央政府による会計検査では昨年、三十三県で五千百万元(約八億円)の違法な徴収が摘発されました。今後は制服などの実費を含め、学校が徴収する費用を政府が厳格に管理することにしています。

 教育省によると、都市部の小中学生は二千八百万人。全小中学生の17%です。


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