2008年8月27日(水)「しんぶん赤旗」
トンネル産廃不法投棄
撤去・再発防止急げ
上信越自動車道
![]() (写真)トンネル工事の産廃が不法投棄されていた現場=長野県信濃町 |
東日本高速道路(ネクスコ)が発注した上信越自動車道の「薬師岳」「さみず」両トンネル工事で出た大量のファイバー(ポリプロピレン製)入りコンクリートが、不法に投棄されていることが明らかになりました。
工事は、現場労働者の告発で手抜き工事が判明し同自動車道・熊坂トンネルと同時期のもので、投棄した企業と工事を発注したネクスコの社会的責任が問われています。投棄現場は長野県信濃町の野尻湖に近いキャンプ場などがある「やすらぎの森」の中。
長野県は四月に立ち入り調査を実施し、「廃棄物混じりの土砂が埋め立てられている」と不法投棄を確認。廃棄物の撤去と再発防止対策を大成建設や三井住友建設など施工会社に指示しました。
これを受け施工会社などは五月七日、撤去作業を開始。六月十三日に撤去を完了したと県と信濃町などに報告しました。
しかし、七月二十五日、信濃町議会が現場を視察すると、「足元には問題のポリプロピレン入りコンクリートが落ちていて撤去完了にはほど遠い」(日本共産党の峯村勉町議)状態でした。
現場労働者は、「薬師岳トンネルなど四カ所のトンネル工事で合計一万トン近い大量のコンクリートが廃棄された」と話しています。
これらの産業廃棄物は周辺の山地に投棄された恐れもあります。
峯村町議は、「ネクスコは、ファイバー二百四十キロを撤去処理したというが、使用したコンクリートと投棄したファイバーの総量が明らかにされておらず、闇に包まれたままだ」と話しています。
全日本建設交運一般労組の杉山忠通副委員長は六月二十五日、大成建設の株主総会で不法投棄を指摘しました。杉山氏は「山内隆司社長は、私の指摘に対し、『(産廃の不法投棄は)あってはいけないことで真摯(しんし)に対応したい』と答えた。そうであるなら徹底した情報公開と適正な処理、再発防止対策を行うべきだ」と話しています。(日本共産党国民運動委員会・高瀬康正)


