2008年8月23日(土)「しんぶん赤旗」
ボリビアの社会主義探究
国民の決定権を重視
与党下院議員団長
セサル・ナバロさんに聞く
資本主義の限界とボリビアの社会主義論について、与党・社会主義運動(MAS)のセサル・ナバロ下院議員団長に話を聞きました。(ラパス=島田峰隆 写真も)
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モラレス大統領とMASは、国際通貨基金や世界銀行の融資は受けても、「構造改革」の押し付けは拒否しています。反新自由主義、反帝国主義、反植民地主義の原則を明確にしてきました。
国民投票でモラレス大統領が大差で信任されたことは、国民がこの政策を積極的に支持した結果です。
搾取と排除
資本主義は歴史的に失敗を重ねてきました。温暖化や飢餓を招き、経済のグローバル化で搾取と社会的排除は世界中に広がりました。
マルクスとエンゲルスは『共産党宣言』で「万国の労働者、団結せよ」と呼びかけました。今は世界中の排除された人々に団結を呼びかけるときです。
資本主義はボリビア国民から天然資源を奪い、人々を搾取し、極貧を生み出しました。ボリビアは資本主義によって発展を阻害されたのです。
多彩な民族
私たちの組織の名前には「社会主義」という言葉が入っています。私たちは、ボリビアの状況を反映したボリビア独自の社会主義を探っています。ベネズエラであろうとキューバであろうと、また旧ソ連であろうと、どんな革命や体制もまねたりコピーしたりする立場は取りません。
社会主義は、それぞれの国の規模、歴史、条件などによって異なります。誰かにLサイズのTシャツがぴったり当てはまっても、他の人に合うとは限りません。社会主義は国によって異なる性格を持つものです。
国民投票にあたって野党は、「モラレス大統領はボリビアをベネズエラやキューバのような国にする」と攻撃しました。しかし、独自の社会主義を探究するという立場が、攻撃を論破する力になりました。
ソ連の崩壊は、共産党一党がすべてを支配し、官僚主義でイデオロギーを上から国民に押し付けたところに原因があったと思います。周辺諸国への侵略も問題でした。
私たちは、参加型民主主義と国民が決定権を持つことを重視します。ボリビアには多彩な民族が住み、地域色もさまざまです。ボリビア固有の民主主義のモデルを探究しなければなりません。

