2008年8月16日(土)「しんぶん赤旗」

禁止牛肉また混入

スウェーデン輸入分 検疫の欠陥露呈


 日本に輸入することが認められていない牛肉製品などが、政府の検疫(抜き取り検査)ではなく、倉庫業者や輸入業者の自主的な届け出で判明するケースが相次いでいます。

 農水省によると、スウェーデンから輸入した豚骨二千四百箱(約二十四トン)のなかに、同国から輸入が禁止されている牛ひれ肉と、輸入証明書のない豚もも肉がそれぞれ一箱(約八キログラム)交じっていたと、東京港の倉庫業者から十一日に同省動物検疫所東京出張所に連絡がありました。

 日本は二○○一年以降、BSE(牛海綿状脳症)発生を受けて欧州連合(EU)全域からの牛肉の輸入を禁止しています。米国以外から禁輸牛肉の混載が発覚したのは初めて。輸入食品の5―10%程度しか抜き取り検査しない検疫体制の不備があらためて浮き彫りになりました。

 倉庫業者から連絡があったのは抜き取り検査を始める前で、業者からの届け出がなければ、農水省や厚生労働省の抜き取り検査では見逃される可能性がありました。

 輸入業者の東京都港保健所への届け出で、輸入が禁止されている米国産牛ひき肉が七月二十四日に検疫を通過していたことが八日に明るみにでたばかりです。

 同省は、業者からの連絡を受け、全箱を開けて中身の確認作業をおこなうとともに、出荷元の食肉処理施設「SCAN AB社スカーラ工場」と倉庫施設「SKARA FRYS社」からの輸入を一時停止。スウェーデン政府に調査を要請しました。

検査体制強化 共産党が要求

 ことし四月にも、吉野家が輸入した米国産冷凍牛肉にBSE危険部位の脊柱(せきちゅう)が混入していたことが、政府の検疫後の国内流通段階で見つかっています。

 日本共産党の高橋ちづ子衆院議員(食料・食の安全、農林水産対策委員会責任者)、紙智子参院議員(農林水産部会長)は、ことし四月の農水省への申し入れで、検疫段階ではなく流通段階で発覚したことは重大だと指摘。検査体制を全箱検査から抽出検査に後退させ、輸入再開に踏み切った政府の責任を追及し、ただちに輸入を中止し、その上で検査体制強化の対応策をとるよう求めていました。


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