2008年8月14日(木)「しんぶん赤旗」

保険料通知に抗議殺到

後期高齢者医療 広がる「廃止を」

不服審査請求3千超す


 七十五歳を過ぎた人を対象に導入が強行された後期高齢者医療制度。年金からの保険料天引きを十月に延期していた自治体が七月、保険料を通知したところ、抗議が殺到するなど、廃止を求める世論と運動が新たに広がっています。


 保険料の天引きを延期していた全国三十一市区町村で七月、保険料額の通知に対する問い合わせや抗議の電話が殺到しました。

 その多くは「保険料が高くなった」「(保険料を)払えなくて保険証が取り上げられたら大変なことになる」など切実な訴えです。

 東京都荒川区では、八日間に二千五百件を超える問い合わせ・苦情が殺到しました。

 荒川社会保障推進協議会が七月三十日、制度廃止を訴えて抗議の宣伝とデモ行進を行いました。都電町屋駅前では、「年金から勝手に天引きしないで」などと訴えると、三十分間で二百人以上の署名が寄せられました。

 横浜市は苦情・問い合わせに十本の専用ダイヤルをもうけましたが、二週間余りで三千七百件にものぼりました。

 保険料通知後にはパンク状態になったため、電話のつながらなかったケースも相当数あったとみられます。

新たな怒り

 天引きを実施してきた自治体でも十五日に導入後三度目の年金からの天引きが行われる予定で、新たな怒りと「もう廃止しかない」の声をさらに広げることになります。

 こうしたなか、山口県の下関市や山口市など四自治体で高齢者ら百一人が四日、制度の内容に納得できないとして行政に抗議の意思を示す不服審査を請求しました。

 参加者は、「強制的に保険料を年金から徴収されるのは納得がいかない」などとのべています。

 神奈川でも七月三十日に神奈川県社会保障推進協議会が呼びかけて四十六人が、保険料の決定・天引きについて不服審査を請求。手続きと並行して百五十人が県庁前で座り込みました。

 不服審査請求は中央社会保障推進協議会のまとめで十一日現在、全国で二十九都道府県で三千百四十九人に達しており、さらに増え続けています。これまでにみられない高齢者の抗議行動の広がりとなっています。

署名行動も

 衆議院での後期高齢者医療制度廃止法案の可決を求めて「後期高齢者医療制度の廃止! 京都連絡会」(京都社保協などで構成)は三十万人を目標に署名運動に取り組んでいます。廃止を求める新たな世論と運動を広げています。

 兵庫県明石市の貴崎連合自治会は、各自治会に廃止を求める署名への協力を呼びかけ、一回目の集約で千五百七十一人分が寄せられており、さらに署名が広がっています。

 千葉県八千代市では同市の日本共産党高津支部の党員たちが七月下旬、東葉高速鉄道八千代緑が丘駅前で国保料の引き下げと後期高齢者医療制度の廃止を訴えてロングラン宣伝を実施。百一人の署名が寄せられました。「こういう署名に取り組んでくれてありがとう」という感謝の声も寄せられました。

633議会決議

 制度の廃止・見直しを求める地方議会意見書は、中央社保協などの調べで、六百三十三議会(七月二十二日現在)に達しています。

 昨年末の時点では全国で三百超だったので、わずか七カ月で倍になる急速な伸びを示しています。四月の制度導入後も都道府県段階では岩手、沖縄県議会で意見書を可決しています。

 各地では九月議会に向けて、社保協などが意見書可決を働きかけることにしており、さらに増えることになるとみられています。



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