2008年8月13日(水)「しんぶん赤旗」

防衛省

クラスター弾禁止に危機感

代替兵器 予算要求へ


 防衛省は十二日までに、五月に採択されたクラスター爆弾禁止条約で禁止される同兵器の代替兵器を調達する方針を固めました。来年度予算の概算要求で、現有のクラスター爆弾を廃棄するための研究費を含め、数十億円を要求するもようです。

 政府は、侵略のために着陸・上陸してきた敵国部隊を海岸などの水際で撃破するためとして、四種類のクラスター爆弾を保有してきました。禁止条約が発効すれば、すべてが対象となります。防衛省は、「上陸阻止のための防衛に穴が空き、抑止力が低下する」として、代替兵器を要求することとしました。

 しかし、昨年度の「防衛白書」も、「わが国に対する本格的な侵略事態が生起する可能性は低下」していると公式に認めています。上陸阻止作戦の可能性は低く、代替兵器配備の意味が問われることになりそうです。

 クラスター爆弾の調達にはこれまで二百八十億円がかかり、現有兵器の廃棄にも約二百億円が必要だと見込まれています。(本紙七月二十八日付に詳報)

 禁止条約は十二月に調印式が開かれ、三十カ国の批准で発効します。クラスター爆弾禁止に反対する米国に追随して同条約に消極的だった日本も重い腰を上げ、採択に同意しました。

 日本は現在、(1)車両から発射する多連装ロケットシステム(MLRS)用のM26ロケット弾(2)戦闘機から投下するCBU87B(3)大砲から発射する155ミリ多目的りゅう弾(4)ヘリから発射する70ミリ対戦車ロケット弾―の四種類のクラスター弾を保有しています。防衛省は、このうち(1)(2)の代替として、子爆弾を持たない単弾頭型の爆弾を検討しています。


 クラスター爆弾 1個の親爆弾が数十から数百の子爆弾を持ち、空中に拡散。広範囲に被害を与えます。不発弾のまま放置され、戦闘終了後に民間人が被害にあう事故が多発しています。今年7月にもベトナム中部で、1972年に投下されたクラスター爆弾が爆発し、3人の子どもが死亡しました。


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