2008年8月12日(火)「しんぶん赤旗」

閣僚暴論

太田農水相 舛添厚労相


差別医療批判 「国民は無責任」

 舛添要一厚生労働相は『中央公論』九月号で、七十五歳以上の高齢者に差別医療を押し付ける後期高齢者医療制度について、「マスコミに袋叩きにあい、大幅な見直しを迫られた」「テレビでみのもんた氏や古舘伊知郎氏が政府や役所を手厳しく追及し、怒っている姿を見て喝采しているだけの国民にも問題がある」と、マスメディアと国民に対し、“逆ギレ”ともいえる暴論を展開しています。

 舛添氏は「金は天から降ってくるわけではない」と医療費抑制政策を当然視。後期高齢者の一人当たりの医療費は、六十五歳未満の「約五倍」とし、「七十五歳以上を制度上で区切ることには極めて合理的な理由がある」と、医療費抑制のための制度だと開き直っています。

 そのうえで、制度に怒る国民に対し、「無責任な国民のありようは、『観客型民主主義』」だと非難を浴びせています。

 医療費の問題では、「今の日本には、医療費を無駄にしているのは自分自身であるという視点が欠落してはいないか。せめて、風邪をひかないよう、また、生活習慣病にならないよう、無駄な薬をもらわないように努力するのは当然だ」と国民に責任を転嫁。日本の医療を崩壊に導いた政府の医療費抑制政策には、まったく反省を示していません。

 年金記録問題でも、政府自身が「宙に浮いた年金」をつくり出してきたにもかかわらず、何の責任もない国民を非難。「郵便物などで熱心に通知をしようが、『こんな難しいものは意味が分からない』と読みもせず、まるで自身で動こうとしない人が少なくない。難しいというけれど、義務教育は受けているのだから通知くらいは読むべきだ」などと、記録問題が解決しない原因は国民にあるかのように述べました。

 そのうえ、「まるで協力しない国民に果たして権利があるのかと私は問いたい気持ちで一杯だ」と暴論を吐いています。

 医療崩壊の責任を国民に転嫁し、制度への批判をまともに受け止めようとしない舛添氏に厚労相の資格がないのは明らか。同氏を再任した福田首相の責任も重大です。(小林拓也)


“国民やかましい”と本音漏らす

 太田誠一農水相が十日、「食の安全」について、「消費者としての国民がやかましくいろいろいうと、それに応えざるをえない」「いまでも日本は安心だけれども、消費者や国民がやかましいから、さらに徹底していこうということでやっていく」(NHK番組で)などと述べ、国民は“やかましい”と連発しました。

 「食の安全」をはじめとする消費者行政の推進は「国民目線の改革」を口にする福田政権がもっとも売り込もうとしてきたテーマです。

 しかし、太田氏の発言は、福田内閣の消費者行政なるものも、“消費者・国民の過剰反応に対応しているだけだ”という本音を漏らした格好です。

 「やかましい」などと有権者を愚ろうし、口先だけで、「食の安全」対策の「徹底」を語っても信用できるものではありません。

 太田氏は、「食の安全というのは日本国内では心配しなくてもいい」とも語りました。

 しかし、実際は、国内でも食品表示の偽装問題などが相次いでいます。中国製冷凍ギョーザ事件をきっかけとして、日本の輸入検査体制の貧弱さが問題になりました。さらに、根本には食料自給率が四割にまで落ち込み、外国産に頼らざるをえない状況に追い込んだ政府の農業政策があります。

 こうした問題が、「食の安全」に直接かかわっていることを認識しない感覚には驚くばかりです。担当相としての姿勢が根本から問われています。

 福田康夫首相は、一月の施政方針演説でも「生活者・消費者が主役となる社会」の実現を第一に掲げましたが、初めての自前内閣で任命した農水相が、「食の安全」についての国民の懸念を「やかましい」などと語っているようでは、首相の見識も問われます。(藤原直)


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