2008年8月7日(木)「しんぶん赤旗」

ODA事業わいろ横行

現金は小分け 家や車も

元ゼネコン幹部が証言


 「わいろや接待は日常茶飯事」「金は巧妙に渡す」―。政府開発援助(ODA)をめぐり、外国政府高官への贈賄が摘発されましたが、わいろ攻勢の実態をODA事業に長年かかわってきた元ゼネコン幹部が本紙に証言しました。


 前社長らが不正競争防止法違反で逮捕された大手建設コンサルタントのPCI(パシフィックコンサルタンツインターナショナル)とは、アフリカで一緒に仕事をしました。PCIの、リベートや接待は露骨で業界でも目立っていました。しかし、ゼネコンも決してクリーンではない。少額のわいろ攻勢は頻繁にやられていました。PCIと共同して高官に工作をするときもあったし、単独のときもありました。

大規模は高額

 わいろの金額は、国によっても違うが、一般的に事業規模が大きいほど高額になる。現金でなく家や車をプレゼントするときもあります。

 現金を渡すときは、十万、二十万円と何回にも分けて少しずつ出します。その方が裏金を用意しやすく、ばれる危険が少ないからです。巧妙にやる場合は、高官の関係者などを実態がないのに雇用した形をとって給与で支払う。同様に架空の業務委託契約を結ぶ方法もあります。

 ODAは、援助を受ける国からの要請で実施されることになっています。だが実際には、日本のゼネコンや商社が、道路や橋りょう、港湾などを建設する事業計画を作成して、水面下で援助を受ける国に働きかけて要請させる場合が多いのです。入札では計画をすすめた企業が落札するのが慣習になっています。現地の高官を取り込めるかどうかは、事業受注に決定的なのです。

国内外で実施

 今回摘発されたのは、外国公務員への贈賄ですが、日本の政治家や官僚への働きかけも水面下で行われています。

 ODAは、日本国内の公共事業に比べて利益率が高い。設計の段階で数字を操作して積算単価を上げることが容易だからです。ゼネコンやコンサルタントは、このおいしい仕事を獲得するために手段を選ばず、国内外で裏金をばらまいているのです。


 ODA(政府開発援助) 日本や欧米諸国が開発途上国に対して行う援助や出資。援助相手国に返済義務のない「無償資金協力」と返済を前提とする「有償資金協力(円借款)」があります。「無償資金協力」の一般プロジェクト無償と水産無償などは、入札参加資格を日本企業に限定。ベトナムで問題になったのは円借款で、援助対象国が国際入札で受注企業を決めます。


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