2008年8月5日(火)「しんぶん赤旗」

警察襲われ16人死亡

手投げ弾、16人が負傷

中国・新疆


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 【北京=山田俊英】中国新疆ウイグル自治区カシュガルで四日午前八時(日本時間同九時)ごろ、国境警備を担当する武装警察隊の施設が手投げ弾などで襲撃されました。公安省によると、警察官十六人が死亡、十六人が負傷し、容疑者二人がその場で逮捕されました。中国当局は公式見解を発表していませんが、北京オリンピック妨害をねらったテロの可能性を視野に捜査しています。

 中国国営中央テレビ(CCTV)によると、分遣隊施設で朝の訓練のため集まっていた隊員の中に、外からトラックが突っ込み、隊員を死傷させました。犯人はこの後、車から降りて刃物で切りつけ、手投げ弾を爆発させました。車に積んだ爆発物を爆発させたとの報道もあります。警察が逮捕した二人を取り調べています。

 中国当局は、同自治区で少数民族ウイグル族独立派のテロ組織が活動しているとして、取り締まりを強めていました。

 CCTVは同日昼のニュース番組で事件を短く伝えましたが、その日の重要ニュースを報じる午後七時のニュースではまったく触れませんでした。五輪開幕をあと四日に控えた時点での爆弾事件に中国当局は衝撃を受けているもようです。

過去にもテロ摘発

 【北京=山田俊英】新疆ウイグル自治区ではこれまで何度か、分離・独立を主張する組織によるテロ活動が摘発されてきました。北京五輪安保指揮センターの田義祥・軍隊工作部長も一日の記者会見で、安全対策上の脅威として、ウイグル独立派のテロ勢力をあげていました。

 三月には、ウルムチ発北京行きの中国南方航空機に乗客が可燃物を隠して持ち込む事件があり、当局はウイグル独立派によるテロ未遂事件と断定しました。

 四月には公安省が、北京オリンピック妨害をねらったウイグル独立派「東トルキスタン・イスラム運動」(ETIM)のテロ準備を摘発したとして、四十五人を逮捕、火薬九・五キロを押収したと発表していました。

 七月二十一日に雲南省昆明市で起きた路線バス連続爆破事件ではETIMと関係が深いとされる「トルキスタン・イスラム党」が、北京五輪妨害が目的だとする犯行声明を出していました。これに対し公安省は、「五輪と関係しているという証拠は見つかっていない」としています。

 ETIMは国際テロ組織アルカイダともつながりがあると指摘され、中国政府はテロ組織に指定し取り締まっています。


 新疆ウイグル自治区 中国の省レベルの五自治区の一つ。区都ウルムチ。面積は日本の約四・五倍の百六十六万平方キロ。中国の総面積の六分の一を占め、省クラスの行政区としては最大です。人口は二千九十五万人(二〇〇七年)。漢民族以外の少数民族が60%で、ウイグル族は46%。「ウイグル分離・独立」を掲げる動きが一部にあり、この間、襲撃、爆弾事件などが起きています。


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