2008年7月31日(木)「しんぶん赤旗」

中学生が「貧困」学ぶ

全私研

分科会で報告・議論


 愛知県蒲郡市内を会場に開かれている第三十九回全国私学夏季研究集会(全私研)は三十日、各教科や学費問題、父母・地域との共同などをテーマにした二十八の分科会が行われました。「いろいろな学びと教育課程」の分科会では、総合学習の実践などが報告され、「生徒にどんな力をつけたいか」などをめぐり活発に議論しました。

 埼玉県の自由の森学園の菅間正道教諭(40)は、中学三年生の総合学習で現在の「貧困」問題を生徒が調べ、体験し、議論する授業の報告をしました。

 菅間さんは「若者の二人に一人が非正規雇用になっている現状を生徒が自分たちのこととしてとらえる授業ができないかと考えた」といいます。

 「反貧困」の取り組みをしている自立生活サポートセンター「もやい」の湯浅誠事務局長を生徒たちが訪ねてインタビュー。さらに政党や経団連などに「貧困問題をどう認識しているか」を質問しました。路上生活者の人たちにも話を聞き、現実を目の当たりにしました。

 京都橘高校の森田一美教諭(50)は、同校が三年生を対象に実施している「人間学」について報告しました。

 「自尊感情」が薄い生徒たちに、「私も生まれてきてよかったんだ」「自分の人生を生きていいんだ」という実感をもってほしいということがこの授業につながりました。

 人間の一生にそって「生まれる」「愛する者との出会い」「働く」「家族」「死ぬこと」と授業を展開。生徒が「生まれる」をテーマにスピーチをしたり、性の問題や結婚・離婚をめぐって討論。「働く」の授業では「家計簿シミュレーション」で、どのくらいの収入なら生活できるのかを考えました。

 生徒からのアンケートにもとづいて毎年内容を改善。生徒からも楽しいという感想が寄せられています。

 森田さんは「生徒同士の討論がお互いの考えていることを知る場となって授業が活性化した」と語りました。



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