2008年7月30日(水)「しんぶん赤旗」

物価上がって年金上がらないのは?


 〈問い〉 以前、「物価が下がったから」と、年金が下げられました。今、物価高なのになぜ年金は上がらないのでしょう?(東京・一読者)

 〈答え〉 「物価スライド」の仕組みは、年金の受給額が物価の上昇に対応するために作られたものです。ところが、生活必需品の値上げにもかかわらず、今年度の年金額が、昨年度から据え置きとなっているのは重大です。

 なぜ「物価スライド」が役割を発揮しないのか。一つは、「物価スライド」の計算が1年ごとであり、昨年末から激しくなった物価高騰は、昨年12月までの1年を平均した「物価」(「消費者物価指数」)には十分に反映されていないからです。また、「物価」を計算するとき、パソコンなどは、性能の向上が価格の低下とみなされます。薄型テレビ、パソコンなどの性能向上・価格低下が、生活必需品の価格上昇分を押し下げています。

 もう一つ重大なのは、「物価」の計算には、増税や社会保険料の値上げは反映されないことです。4月7日、参議院予算委員会で日本共産党の小池晃政策委員長は、横浜市のモデル世帯の計算で、この8年間で、税や保険料の負担は16万円以上増えた一方で、年金は5万円ほど減少したことを示しました。いちばんの負担増が年金額に反映されていないのです。

 さらに、「百年安心」と宣伝された04年改悪からは「マクロ経済スライド」が導入されています。まだ「発動」したことはありませんが、物価上昇時の年金額の計算を、平均0・9%カットする仕組みです。たとえば、「物価」が2%上昇しても、年金額の上昇は1・1%だけです。つまり、来年度の「物価スライド」にも、現在の物価高騰はきちんと反映されないのです。年金の給付水準が引き下げられ、高齢期の生活の土台という役割が、さらに破壊されていくことは見過ごせません。

 日本共産党は、いまの物価高騰から年金受給者の生活を守るために、今年2月18日に発表した予算組み替え要求でも、「最近の物価高騰を給付水準に緊急に反映させる」ことを求めています。また、「マクロ経済スライド」などの給付削減・負担増の計画を中止するとともに、最低保障年金制度の創設などで年金額を底上げすることも提案しています。

 その財源は、軍事費や公共事業の浪費にメスをいれ、大企業や高額所得者などに応分の負担を求めるとともに、巨額の年金積立金のとりくずしなどでまかなうべきです。(榛)

〔2008・7・30(水)〕


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