2008年7月30日(水)「しんぶん赤旗」

社保庁解体 職員30%減

「年金機構」 基本計画を閣議決定


 政府は二十九日、社会保険庁を廃止・解体して二○一○年一月に発足する「日本年金機構」の基本計画を閣議決定しました。懲戒処分歴のある同庁職員を全員不採用とするほか、業務の外部委託の推進などを盛り込みました。

 日本年金機構の正規職員は、民間から千人程度、社保庁から九千八百八十人程度を採用し、一万八百八十人体制とします。民間からの採用をさらに増やすことも検討するとしていますが、同庁の現在の正規職員(一万三千百十三人)を少なくとも約30%削減します。

 年金記録漏れ問題への対応で、紙台帳記録約八億五千万件全件をコンピューター上の記録と照合する方針が決まったことで、新たに大量の人員が必要となるのはほぼ確実。同庁は照合作業を十年間で完了するには正規・非正規職員が年間五千八百―七千百人必要と試算しています。決定された計画は、実情を無視した人員削減です。

 同機構に採用されなかった同庁職員の処遇については、政府は民間企業への再就職のあっせんや厚生労働省への配置転換などを行う方針です。それでも行き場がない場合には民間企業の解雇に相当する分限免職を検討するとしています。


解説

安心・信頼の願いに背く

 政府が閣議決定した「日本年金機構」の業務運営基本計画は、公的年金に対する国民の批判を職員に押し付ける一方、公的年金をもうけ口にしようという財界の要求にこたえて大規模な民間委託と人員削減をすすめるものです。公的責任を投げ捨て、年金制度を危うくするもので、安心・信頼の公的年金を求める国民の願いにそむきます。

 社会保障の根幹をなす公的年金は国の責任で直接、管理・運営されるべきものです。記録問題の業務が増大するもとで職員にはただ働きや健康破壊が急増しており、人員と体制の確立は急務です。ところが基本計画は、今より30%も職員を削減し、業務をばらばらで民間委託するというのです。

 年金不信をつくりだした責任は政府・与党にこそあります。「百年安心」とうそぶいて制度を改悪し、高すぎる保険料と低年金を押し付けてきました。「消えた年金」問題でも、必要な体制もとらず、ずさんな管理を重ねてきた、歴代厚生労働相(厚相)や社会保険庁長官をはじめ政府の責任こそ問われなければなりません。

 懲戒処分を受けた職員を一切採用しないというのも、「年金不信などから選挙で負けたことに対する仕返し」「パフォーマンス優先の人減らし策」と報じられるように、党利党略から決めたものです。

 記録問題解決のためには、業務に習熟した職員こそ必要であり、千人規模の人員不足に陥っているもとでの解雇など法的にも許されません。処分済みの事例で解雇すれば不当な二重処罰となることは明らかです。処分には不正免除など社保庁の方針で行われたものもあり、それを理由に解雇するなど道理もありません。

 誤った社保庁の解体は凍結し、記録管理とサービスに責任を負う組織と人員の確立と、安心・信頼できる年金制度に改めることこそ求められます。(深山直人)



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