2008年7月24日(木)「しんぶん赤旗」

雇用促進住宅の全廃、どう考える?


 〈問い〉雇用促進住宅の全廃で、全国14万戸に住む人たちが追い出されると聞きました。日本共産党はこれをどう考えていますか。(大阪・一読者)

 〈答え〉全国14万戸、35万人が住んでいる雇用促進住宅を全廃して居住者の入居契約を打ち切り、追い出すというとんでもないことが具体化されようとしています。

 この雇用促進住宅は、1950年代後半からのエネルギー転換の強行による炭鉱閉山などによって、移転・離職を余儀なくされる人々の住宅確保を目的として、1960年から雇用促進事業団(現在・雇用能力開発機構)が建設を始めたもので、その後、移転就職者向けだけではなく、仕事と住まいを求める人たちを対象にする、入居資格の要件が緩和されました。しかし、「官から民へ」という特殊法人改革のなかで住宅の建設、管理から撤退、全廃し取り壊し、民間企業にたたき売りする方針が一方的に決められたのです。しかも2003年(平成15年)11月以後の定期(期限付き)契約者はまともな説明もないまま、早ければ今年中に退去を迫られています。

 しかし、このような退去要求は何の道理もないばかりか、居住権の乱暴な否定です。そのうえ現行借地借家法の定めにある、家主が立ち退き請求できる「(家主が)建物の使用を必要とする事情」という正当な理由にも当たらないものです。「特殊法人改革」は、国の都合で始まったものであり、入居者には何のかかわりも責任もありません。

 この雇用促進住宅は雇用政策だけではなく、国の「住宅政策5カ年計画」にも位置づけられ、公営・公団住宅と同様に国の公的住宅政策の一つの柱でした。

 国や機構は、「公共住宅等の整備が進んできた」と廃止理由で述べていますが、とんでもないことです。公営住宅は大都市では数十倍の応募倍率で、都営住宅の空き家募集は数百倍になるところもあります。しかも、非正規雇用やワーキングプアの増大で低賃金が横行し家賃が払えなくなるなどの理由で「ネットカフェ難民」と称される“住宅なし貧困層”も増えています。

 全国各地で、大規模な署名運動などが取り組まれ、これをうけて、7月16日には日本共産党の福井県代表らが、国会議員とともに国と交渉しており、25日には東海4県をはじめ各県共同の政府要請も行われます。

 声をあげて居住権を奪う不当な雇用促進住宅の全廃をやめさせることは生存権を確保する重要な運動です。(高)〔2008・7・24(木)〕


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