2008年7月24日(木)「しんぶん赤旗」

主張

消費税増税

絶対に「受け入れ」られない


 自民党の税制調査会が二十三日に小委員会を開き、来年度の税制改定に向けた本格的な議論を開始しました。二十二日には政府税制調査会も「消費税を含む税制の抜本改革」の議論を始めました。

 自民税調の津島雄二会長は「どんなに『理論的に良い』といわれる税制でも、国民が受け入れてくれなければスムーズに実施することはできない」とのべています。

 消費税増税に国民の反対が強いことを念頭に置いた発言であり、国民が増税を「受け入れ」るような状況に、どう持っていくかが最大の課題だという認識です。

国民の目線で見れば

 福田内閣と与党、財界の狙いは社会保障の改悪に反対する世論を逆手に取り、社会保障の財源を口実にして増税を国民に「受け入れ」るよう迫ることです。しかし消費税が「理論的に良い」という主張は、大企業・財界の目線で見た大企業優先の議論にすぎません。

 価格に転嫁する仕組みの消費税は、市場で強い立場の大企業なら価格に全部転嫁して一円も負担しなくて済む税金です。財界の立場に立てば、消費税増税は社会保障に使うという名目で社会保険料の企業負担を免れ、法人税を減税する財源となる“打ち出の小づち”にほかなりません。

 内閣府が二十二日に発表した経済財政白書は、社会保障の財源として「労働や資本の供給を阻害しない負担の形態を選択」するよう求めています。経済財政白書の説明によれば、まさにこの点で消費税こそ「理論的に良い」税制だということになります。

 これは大企業・大資産家の利益を優先する極めて一方的な問題の立て方です。労働や資本に中立な税制をという主張は、所得税の最高税率を引き下げて累進制を弱めるとともに、法人税や株取引の減税の口実となってきました。大企業・大資産家には減税、庶民には増税という逆立ちした税制が、貧困と格差の拡大を加速してきたことは明らかです。

 消費税は労働に「中立」ではなく派遣や請負など間接雇用を増やす税制です。企業が消費税の納税額を計算する際、売り上げにかかった消費税額から仕入れにかかった消費税額を差し引きます。このとき派遣や請負などの間接雇用は原材料と同じ仕入れ品扱いとなり、消費税の仕入れ控除の対象になるからです。

 所得のほとんどを生活費に充てなければならない低所得層と、いくらでも株に投資したり預金する余裕のある大資産家では、消費税5%の重みがまったく違います。低所得層ほど所得に対する負担が重い消費税は、社会保障にもっともふさわしくない税制です。

日本経済の足かせ

 消費税は所得から消費に回す割合が高い低所得層ほど重い税金だからこそ、所得税の最高税率や株式課税の引き上げなどと比べ、はるかに消費を冷やす税制です。

 経済の安定と発展に果たす中小業者の役割は重要です。しかし消費税は、立場が弱くて価格に転嫁できない中小業者にとって、自腹を切って納税しなければならない過酷な営業破壊税です。消費税は経済活動に中立どころか、日本経済の足かせになっています。

 暮らしと経済を発展させる立場から見れば、これほど理論的にも現実的にも悪い税制は、増税どころか廃止を検討すべきです。



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