2008年7月22日(火)「しんぶん赤旗」
悪質展示会商法「ベルーナ」
処分前にも是正指導
取り囲み、高額契約迫る
経済産業省から特定商取引法に違反する悪質な展示会商法をしていたとして六カ月間の業務停止命令を受けた東証一部上場のカタログ通販業「ベルーナ」(資本金約百六億円、埼玉県上尾市)が、今回の処分の前にも東京都と神奈川県に改善指導を受けていたことがわかりました。二度も指導を受けながら改善できなかった同社の企業体質が問われます。
同社の処分内容は、「イベントに遊びに来て」などと販売目的を告げずに誘ったり、展示会場で数人で取り囲み、長時間にわたる執拗(しつよう)な勧誘で高額の呉服や宝飾品などを契約させた―などというもの。
同社によると、二〇〇〇年に展示会販売事業を開始。東京都と神奈川県の各消費生活センターに同様の苦情が年間数十件寄せられ、〇六年七月に東京都生活文化局消費生活部から、〇七年三月に神奈川県県民部生活課指導班から、それぞれ是正を求める指導を受けました。
ところが、両都県の指導後も、同社の悪質商法をめぐるトラブルはなくならなかったのです。経産省が今回の処分で明らかにした同社の悪質な勧誘事例五件は、いずれも、〇六年十月―〇七年七月のものです。
たとえば、〇六年十月に展示会に勧誘された消費者は、着物のコーナーに連れていかれ、「着物は着ないから、いらない」と断ると、四、五人の従業員に囲まれ、仕方なく着物の契約。すると、「着物だけではなく、バッグも草履もないと」とバッグや草履のコーナーでも契約させられ、総額約百万円になりました。
身近な人の名前を言えず、お金の管理もできなかったりするなど認知症の症状があらわれている年金生活の高齢者は、〇七年一月、展示会に誘われ、宝石の契約。この高齢者は三年前から何度か展示会に誘われ、次々と呉服などを契約していました。親せきの人が、高齢者の口座から公共料金の引き落としができなかったので通帳を調べると、信販会社の名前で引き落としが頻繁に行われていました。
〇七年七月には、「年金暮らしだし、お金がないです」という消費者を三、四人で取り囲み、「この着物はあなたにしか似合わないから」「月々、二―三万円ずつなら支払えるでしょう」といって契約させました。
東証一部上場会社が特定商取引法違反で業務停止命令を受けたのは、〇六年七月、「サニックス」(資本金約百四十億円、福岡市)が「このままでは家が倒れる」などと虚偽の説明を行い、シロアリ駆除や家屋補強工事などの勧誘をしたことを問われて以来、二例目。ベルーナは、「今回の処分、指示を厳粛に受け止め、第三者調査委員会を設置して、再発防止の取り組みを進める」としています。

