2008年7月19日(土)「しんぶん赤旗」

アスベスト被害

中皮腫の早期発見へ

血液検査・PETで診断


 「アスベスト暴露による、中皮腫の早期発見に大きな前進」│建設労働者でつくる東京土建一般労組と東京土建国民健康保険組合、順天堂大学医学部の樋野興夫教授は十八日厚生労働省で記者会見し、中皮腫の発症前診断に成功したことを明らかにしました。


 中皮腫は早期発見が困難ながんといわれます。今回、発表された診断システムは、アスベストに暴露された膨大な人々のなかから高い効率と精度で、早期に患者を発見する方法。血液検査やPET(陽電子放射断層撮影)検査などを使用します。自覚症状がなく、レントゲン検査などでも中皮腫が確認できなかった人の発症が確認され、この診断システムの有効性が確認されました。

 記者会見で、樋野教授は「この方法で中皮腫患者の絞り込みが可能になった。レントゲンやCT(コンピュータ断層撮影)検査などで発見できない中皮腫を発見できるようになった」とのべました。

 東京土建一般労組の三宅一也常任中央執行委員は「中皮腫は、発症すると短期間で病状がすすむので、発症前診断がきわめて重要だ。早期発見に有効な方法だ。これからも、国やメーカーに働きかけ、アスベスト被害者の救済に努めていきたい」と述べました。

 石綿とも呼ばれるアスベストは、髪の毛の五千分の一、肺に大量に取り込まれると、二十から四十年の潜伏期間を経て、中皮腫、肺がん、石綿肺などの病気を引き起こします。

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