2008年7月19日(土)「しんぶん赤旗」

年金、時効で消滅?

混乱招く社保庁の「通知書」

小池議員 是正申し入れ


 時効に関係なく過去の年金を支払うことを決めた年金時効特例法の施行から一年以上経過しているのに、社会保険庁が、「時効消滅」すると書いた年金支給額通知書を送り続けていることが分かりました。

 日本共産党の小池晃参院議員は、「時効特例法に反する記述を行政文書に記載することはおかしい」と同庁に是正を要求しました。

 問題の文書は、年金受給者に新たな年金記録が見つかるなどして受給額が変更されたことを知らせる「年金裁定通知書」。年金額などを記載した欄の冒頭に「以前分の年金は5年以上経過しているため消滅時効によりお支払いする額の計算の基礎とはなりません」と明記しています。この文書を受け取っても、実際には、時効消滅分の年金も支払われることになっていますが、文書を見た受給者からは、「また、もらえなくなってしまったのか」と不安の声が上がっています。

 小池氏の是正申し入れに、同庁担当者は、「システム変更の対応ができていないので昔の書式を使っている」「同封した別の文書で、時効消滅分も計算に入れることを説明している」などと釈明しました。

 小池氏は「時効消滅した人の年金受給の権利を保障した時効法の条文に反する記述だ。受け取った人に不安を与えるようなやり方はただちに改めるべきだ」と要求。担当者も「確かに記述には法律から見て問題がある。上司と相談して対応を決めたい」と答えました。

 年金時効特例法は、ずさんな年金記録の管理問題にたいする国民の怒りが広がるなか、昨年の通常国会で自民・公明両党があわてて成立させたものです。当時の安倍晋三首相は「すべてさかのぼって支給が可能になった」と大宣伝していましたが、施行から一年以上過ぎても、国民に混乱をもたらしている事態が浮き彫りになりました。



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