2008年7月17日(木)「しんぶん赤旗」

米メディケア法案

拒否権を覆し成立

医療費補償 高齢者ら要求反映


 【ワシントン=西村央】米上院は十五日、ブッシュ大統領が拒否権を発動したメディケア法案を賛成七〇、反対二六で再議決し、法案は成立しました。同様の法案を下院も再可決しており、法案を推進してきた医師団体や患者団体は高齢者への公的な医療保険制度が維持されたと歓迎しています。

 メディケアは高齢者(六十五歳以上)と身体障害者を対象とする連邦政府による公的医療保険制度。ブッシュ政権は医療費を削減するため、この制度の医師への診療報酬を削減し、10・6%カットする計画でした。今度の法案はこの削減を事実上取りやめ、従来通りの制度を維持して公的医療制度の骨格を維持しようというものです。

 ブッシュ政権は高齢者が民間の医療保険を選択する自由を拡大するなどの名目で診療報酬を削減しようとしていました。これにたいし高齢者や障害者、医療関係団体などは、民間の保険会社を利するだけで公的医療の後退につながると強く反対。診療報酬のカット分を補償する法案が先週、上下両院を通過。ブッシュ大統領はこれに拒否権を発動しました。

 これを覆した今回の上院の再議決では、共和党議員から二十一人がブッシュ大統領の拒否に異議を唱える形で賛成に回りました。これに先立つ下院の議決では、共和党議員から百五十三人が賛成に回り、三八三対四一の大差で拒否権を覆しました。

 ブッシュ大統領の任期中、拒否権が覆されたのはこれが四度目です。



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