2008年7月17日(木)「しんぶん赤旗」

海区漁業調整委員選挙 (22日告示、31日投票)

危機に立ち向かう力に


 原油価格の高騰で日本の漁業はかつてない危機に直面し、十五日には全国の漁業者がかつてないいっせい休漁を行いました。こうしたなか、漁民の県議会とも言われる海区漁業調整委員(漁調委)選挙が七月二十二日告示、三十一日投票で行われます。

「発展と民主化」

 漁調委は、一定の沿岸海域を単位に設けられる行政委員会で、海に面する都道府県と滋賀県(琵琶湖)に設置されています。一県一海区が基本ですが、広い海域をもつ北海道、長崎など十二道県には複数が設置され、合計六十四あります。水面を総合的に利用し、「漁業生産力を発展させ、あわせて漁業の民主化を図る」(漁業法)ことを目的に、その中心的役割を漁民代表が果たすよう、定数十五人(小さい海区は十人)中九人(同六人)を公職選挙法に準じて選出することになっています。任期は四年、選挙権・被選挙権は、九十日以上漁業に従事する(陸上作業含む)二十歳以上の漁業者(法人を含む)に与えられます。

 漁調委の主な役割は、海区内における、漁場の利用計画、漁業権免許の事実上の決定、水産資源の保護や漁民同士の紛争にかかわる委員会指示の制定などであり、国や都道府県の水産行政にたいする建議をおこなうことができます。地域の漁業や漁民の実情や要求、知恵を生かし、漁業の振興や資源維持に積極的な役割を果たすことが求められています。

 日本の漁業は、原油高騰による生産コストの増大と、輸入圧力や大手流通資本の横暴による産地での魚価安などのため深刻な経営危機に直面しています。漁場の環境悪化、就業者の減少も深刻です。その一方で、水産物を輸入する国が増え、日本の商社が“買い負ける”事態も起きています。国内漁業の再生は国民的な課題になっています。

 政府は、二〇〇〇年に制定した水産基本法で、食料の安定供給の立場から水産業を位置づけ、国内生産の増大を基本に自給率を向上させる「水産基本計画」をたてることを決め、〇七年に見直しを行いました。しかし、「国際競争力のある経営体の育成」が中心で、現に生産を担っている漁業者を応援する対策はきわめて弱く、原油高騰対策でも、省エネ化への助成が中心です。漁業界が、休漁によって苦境を訴え、経営の維持に不可欠な燃油への直接補てんなどを求めていることも、不十分さ故です。

漁民の利益守る

 漁調委選挙は、漁業経営と水産政策、資源管理のあり方などを考える重要な機会です。

 日本共産党は、可能な海区で候補者を立て、漁民に役立つ漁調委のあり方や地域の条件にあった漁業政策を提案してきました。前回は、秋田、愛知、滋賀、京都で公認・推薦候補が当選、その後繰り上げ当選した高知とあわせて、漁民の利益を守る努力をしてきました。漁業の発展と委員会の民主的運営に努力する委員との協力も広げてきました。

 この機会に、関係する党組織が、漁調委の民主的発展の方向をあきらかにし、地域の漁業振興と可能な限り候補者を出すとともに、政策と要求で一致できる人との協力を広げることが求められます。原油高対策をはじめ漁業関係者の切実な要求にこたえるとともに、漁業と漁村における日本共産党の活動を発展させるためにも重要です。(党農漁民局長・有坂哲夫)


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