2008年7月17日(木)「しんぶん赤旗」

民主党 財界と「一層、関係強化」

法人税下げ・消費税上げに言及


 民主党が「国民の生活が第一」を掲げながら財界幹部との接近を強め、財界の要求に迎合する姿勢をみせています。

 同党の前原誠司、岡田克也両副代表らは八日、経済同友会の桜井正光代表幹事ら幹部と「政策懇談会」を開きました。経済同友会は、民主党が二〇〇三年に自由党と合併し政権公約(マニフェスト)を策定する際、改憲を盛り込むよう注文をつけた“実績”があります。

政策を後押し

 同友会は、基礎年金を消費税増税による全額税方式でという民主党の政策を後押ししています。年金保険料の企業側負担の削減をもたらすからです。今回の政策懇談会も「マニフェストをまじめに実現してくれる議員」への働きかけが目的でした。

 さらに十一日には岡田副代表が都内の日本料理店で日本経団連の御手洗冨士夫会長(キヤノン会長)、今井敬名誉会長(新日本製鉄相談役)ら財界関係者約十人と会食しました。

 いずれも財界側の呼びかけに民主党議員が応じた形です。

 民主党と財界との接触が強まっている背景には、「(昨年の)参議院選挙の結果を受け、経済団体からの民主党への期待は高まっています。この機を逃さずコミュニケーションを活発化し一層の理解と関係の強化に努めます」(〇八年度活動方針)という同党の戦略があります。

経団連と懇談

 民主党と日本経団連は今年二月、三年ぶりに首脳懇談会を開きました。席上、小沢一郎代表は、「(民主党の考えへの)経団連の評価は厳しい」と発言。御手洗会長は、「何が重要かという点については共通の認識が持てた。今後、責任政党の民主党とできるだけ率直に議論していきたい」と応じました。

 昨年の臨時国会で民主党は、御手洗氏が会長を務めるキヤノンの「偽装請負」問題で同氏の国会参考人招致を要求し、「関係が疎遠」だなどといわれましたが、すでに関係の修復が図られた格好です。その結果、同党は今年の通常国会では、御手洗氏の国会招致を一度もいわなくなりました。

 民主党はボイコット戦術で国会審議を放棄しこそすれ、参院第一党の優位を活用しての徹底審議で自公政権を追い詰める姿勢はとらず、財界が求めてきた宇宙軍拡推進の宇宙基本法などの悪法の成立に手を貸してきました。

 いま、御手洗氏は、「与野党がよく話し合えば、必要な改革を遅滞なく進めることは十分可能だ。今後はこうした方向で政策がスピーディーに進むことを期待したい」(六月十九日の講演)と、財界が求める政策の実現を迫っています。

 日本経団連は、自民、民主両党への企業献金の配分額を検討するために、両党との「政策を語る会」を毎年開催。今年六月の「民主党と政策を語る会」で同党は、「法人税の実効税率を国際水準に引き下げることは理解できる」と表明したほか、「無駄を徹底して排除することが前提だ」としているとはいえ、消費税率の引き上げにも言及しました。いずれも、財界が求める政策と合致しています。(林信誠)



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