2008年7月16日(水)「しんぶん赤旗」

漁に出させろ

思い、声ひとつ

直接支援が必要 北海道釧路

紙議員あいさつ


 サンマの流し網漁が八日に解禁になったばかりの北海道釧路市で十五日、政府へ燃油高騰の直接支援を求める漁業者緊急集会が開かれ、釧路、十勝両管内の漁業者ら八百人が集まりました。

 十五歳のときから漁業一筋の男性(59)=広尾町=は「サンマ漁に70%のスピードで走っているから、漁場まで時間がかかって休む暇もない。広尾まで戻れず、釧路に停泊している。発泡スチロール容器も値上がりして採算がとれない」と語気を強めます。

 「漁を休むのは悔しいですよ」と十五日で最終日だったアサリ漁を休んで集会に参加した男性(34)は「これだけの人が集まり、切実な思いをしていると改めて実感しました」と話しました。

 集会は、釧勝地区漁業協同組合長会の柳谷法司会長が「もはや省エネ操業など自助努力の限界を超えている」と強調し、直接支援が必要だと訴えました。

 父親とコンブ漁をしている釧勝地区漁協青年部連絡協議会の笹誠会長は「小型船のガソリンは五年で一・七倍。製品づくりの乾燥機の重油は二・六倍で、漁業の継承をあきらめる青年部員がいます」と切々と語りました。

 厚岸漁協実行組合長連絡協議会の蔵谷繁喜会長は「われわれ漁師は、日本の食料自給率を命がけで支えてきた。これから道東は盛漁期を迎えるが、このままでは漁に出られない」と強調しました。

 日本共産党からは、紙智子参院議員が鉢巻きを締めて登壇。「融資や省エネなどの間接支援では限界です。一刻も早い直接支援が必要です。漁業や地域経済を守るため、立場の違いを超えて取り組みましょう」と連帯のあいさつを行いました。

 伊東良孝釧路市長、棚野孝夫釧路管内町村会長をはじめ周辺自治体首長や議長らも多数駆けつけました。集会後、釧路市の北大通をデモ行進しました。


先人築いた漁守る

宮城・気仙沼

 宮城県気仙沼市の気仙沼魚市場では、国に対し燃油高騰分への直接補てんなどを求める漁業経営危機突破気仙沼漁業者集会が開かれ、集まった三百人は「国は漁業を守れ!」「漁に出られる政策を確立せよ!」と気勢をあげました。

 正面には「漁業者の努力はもう限界を超えている!」と書かれたスローガン。会場の二階から大漁旗が下がるなか、「赤字で漁に出れないぞ」とシュプレヒコールを繰り返しました。

 開会あいさつで宮城県漁協歌津支所の高橋兼次運営委員長は、「全国の漁業者がかつて一つになったことがあったでしょうか。われわれは先人の築いてきた漁業を守り、存続させるためにも、国に直接補てんを求める」と呼びかけました。

 漁民の訴えでは、同漁協唐桑支所「順栄丸」の伊東順一さんが「さまざまな省エネやコスト削減を一生懸命やってきたが、燃油高騰はとどまるところを知らない。燃油だけでコストの40%を超す状態です。国民のみなさんに訴えたい」と強調しました。

 同漁協唐桑支所女性部長の鈴木芳枝さんは「高騰が続くなら、みなさんにおいしい魚を供給できなくなります。政府、政治の力で漁業者の支援をお願いします」と切々と訴えました。

 集会の最後に、国や県に直接補てんや経営存続への抜本的対策を求める特別決議を採択しました。

怒りの汽笛海響く

島根・恵曇(えとも)漁港

 島根県内では四千四百隻が休漁しました。漁業協同組合JFしまねは東京での行動に合わせ松江市鹿島町の恵曇漁港で漁民集会を開いたほか県内JR六駅頭で休漁への理解を求めるビラを配りました。

 「一斉休漁中」の旗を掲げ約二百隻が係留された恵曇港の集会には約二百人が参加しました。

 市内島根町から参加の男性(59)は「八月のウルメイワシ漁では二艘(そう)の船で燃油も一日五百リットル必要になる。船の設備関係のローンも残っている」と、投機筋が原油先物市場を対象にしたことへの怒りを語ります。

 集会は午前十一時の一斉汽笛で始まり、JFしまねの永田正二専務理事が「われわれの使命は国民に安全で安心で新鮮な魚を提供することです。これは経営安定なくしてはできない」と、一致団結して燃油への補てんを求める運動を呼びかけました。

 参加者は燃油価格に対する補てん措置を早急におこなうよう求める決議を採択。「国は食料生産を担う漁業を守れ」「このままでは漁に出れんぞ」の唱和が海に響きました。


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