2008年7月15日(火)「しんぶん赤旗」

原子力空母母港化の「四つの危険」――連帯した力でストップを

7・13大集会 志位委員長のあいさつ


 十三日神奈川県横須賀市で開かれた原子力空母の配備を許すなの大集会での日本共産党・志位和夫委員長のあいさつの大要はつぎの通りです。


写真

(写真)あいさつする志位和夫委員長=13日、神奈川県横須賀市

 みなさん、こんにちは。「原子力空母の配備を許すな」「米軍再編・基地強化反対」の一点で連帯し、全国から参加されたみなさんに、日本共産党を代表して熱いあいさつを送ります。(拍手)

二度にわたる直接請求署名、七割が反対――この声に耳を傾けよ

 まず、私は、二度にわたる直接請求署名にとりくみ、見事に成功させた横須賀市民のみなさんに、心からの敬意と連帯を表明するものです。(拍手)

 直接請求は自民、公明などの議員の反対で否決されましたが、反対した議員も含めて全会一致で「原子力空母の配備に対し多数の市民が危惧(きぐ)していることの証左として、署名の重みは市議会として真摯(しんし)に受けとめるものである」という意見書を採択するところまで追いつめたことは大きな成果だと思います(拍手)。直近の世論調査でも、七割の市民が(原子力空母)配備反対と答えています。日米両政府は、横須賀市民の声に耳を傾けよ(「そうだ」の声、拍手)。私は、そのことをみなさんとともに強く求めるものです。(拍手)

核事故の危険――これほど危険な条件がかさなった原子炉はない

 原子力空母の母港化が何をもたらすか。私は「四つの危険」をここで告発したいと思うのであります。

 第一は、核事故の危険です。

 原子力空母ジョージ・ワシントンは、原子力発電所なみの二つの原子炉を搭載しています。それは、三百六十五日、二十四時間、波と振動にさらされる原子炉です。首都圏三千万人が暮らす人口密集地におかれる原子炉です。軍事機密という厚いベールで覆われた原子炉です。日本政府は、安全は二の次で強引に原発を増設してきましたが、これほど危険きわまりない条件がかさなった原子炉はありません。

 日米両政府は、「安全」を繰り返しましたが、船内八十区画に被害が及んだとされる深刻な火災事故という事実をもって、「安全神話」は粉々に崩れ去りました。こんな危険な原子炉と絶対に共存することはできない。これがここにいるすべてのみなさんの共通の気持ちではないでしょうか。(「そうだ」の声、拍手)

「殴り込み」機能の強化――「血塗られた空母」の母港にするわけにはいかない

 第二は、「殴り込み」機能の強化です。

 原子力空母は、燃料補給の心配なしに、いつでもどこにでも出撃できる強大な能力をもっています。これまでの通常型空母キティホークと比べて、艦載機も増え、積み込める武器、弾薬は一・八倍。米海軍は「戦闘力は二倍になる」と豪語しています。

 この強大な戦闘力が何のために使われたでしょうか。ジョージ・ワシントンは、ペルシャ湾地域に六回にわたって出動し、アフガン戦争、イラク戦争では一万七千回に及ぶ攻撃飛行をおこなっています。あのイラクのファルージャで、無辜(むこ)の市民、女性、子どもを無差別爆撃で殺りくしたFA18ホーネットも、ジョージ・ワシントンから出撃したのであります。この横須賀を「血塗られた空母」の母港にするわけには絶対にいかないではありませんか。(拍手)

基地の恒久化――二十一世紀のはるか先まで空母母港という異常は耐えがたい

 第三は、基地の恒久化です。

 横須賀に米空母が初めて配備されたときに、日米両政府は何と約束したでしょうか。「(配備は)おおむね三年」「新たな施設の建設は求めない」「空母艦載機の離着陸訓練はしない」という三つの約束をした。その一つでも守ったものがありますか。三つの約束をすべて反故(ほご)にして、三十五年間も居座りつづけたことを、決して忘れてはなりません。(拍手)

 そのうえ、寿命が五十年という最新鋭の原子力空母の母港化を許せば、この先、さらに数十年、二十一世紀のはるか先まで、海外での唯一の空母母港という異常な事態が固定化され、永久化されることになります。これは耐えがたい。とんでもない。この声をつきつけようではありませんか。(拍手)

米軍犯罪の拡大――基地外に居住する米兵の犯罪の危険も重大

 第四は、米軍犯罪の拡大です。

 米軍基地をかかえる全国の自治体で、住民は、米兵による犯罪の恐怖と隣り合わせの生活を強いられています。横須賀でも、三年連続で殺人・殺人未遂事件が起こりました。

 ことし二月に沖縄で起こった少女暴行事件では、基地外に居住する米兵の犯罪が大問題になりました。日本政府は、その実態を事故後にあわてて調査しましたが、六月末に公表された報告によると、基地外に居住する米兵が全国でもっとも多い自治体は、横須賀市の三千五百三十二人となっています。原子力空母になれば、乗組員はさらに増え、事態はいっそう深刻にならざるをえません。

 「四つの危険」ということを告発しましたが、この危険は、もちろん横須賀市だけにとどまるものではありません。万一核事故がおこれば、その被害は、たちどころに首都圏三千万人に及ぶことになります。増大する艦載機は、移転先とされる山口県岩国で爆音と事故の恐怖をまき散らし、新たなNLP基地を差し出せという事態をつくりだすことになります。原子力空母の配備はいまからでも撤回せよ。そのことを全国が声をそろえていおうではありませんか。(大きな拍手)

「歓迎されない所に配備しない」――「断じて歓迎しない」の声を

 みなさん、たたかえば、前途を開くことができます。私は、二人の米国当局者の発言を紹介しながら、そのことを訴えたいと思います。

 一つは、米軍自身が「歓迎されないところにはいたくない」と言っていることであります。「米軍再編」にあたって、当時のラムズフェルド国防長官は、「歓迎されない所には配備しない」という原則を明らかにし、つぎのようにのべています。「われわれは、われわれの部隊が望まれているところにおきたい。……われわれは、歓迎されないところにはいたくない」。「歓迎されない」というなら、まさにこの場所がそうではありませんか(「そうだ」の声、大きな拍手)。「断じて歓迎しない」の声を、横須賀で、首都圏で、全国で圧倒的に広げ、母港化返上の道を開こうではありませんか。(拍手)

全国の連帯した力で基地強化ストップ、基地のない平和な日本を

 二つは、全国の連帯したたたかいが、日米両政府を追い詰めていることです。

 「米軍再編」協議の米側代表を務めたローレス前国防副次官は、つぎのようにのべています。「同盟変革(再編)の実施が漂流している。普天間飛行場の移設がその例だ。一年は遅れると聞いている。……この合意はすべてが連動する複雑な機械のようなもので一つのパーツが凍結すれば、全体が凍結してしまう」。こう嘆いているのです。

 米軍基地が、「漂流」しているなら、そのままアメリカに帰ってもらいたい(拍手)。原子力空母は火災をおこしながらの「漂流」ですから、そんな物騒なものは、いよいよもってアメリカに帰れ。このことを強くいいたいと思います。(拍手)

 沖縄県民のたたかいは、辺野古の海に海兵隊の新基地をつくる計画を、SACO(沖縄に関する特別行動委員会)合意以来、十二年にわたって食い止め、美しい海に杭(くい)一本打たせていません。岩国でも、横須賀でも、座間でも、相模原でも、横田でも、全国各地で、曲折はあっても、基地強化を許さない不屈のたたかいが発展しています。全国の連帯したたたかいが、日米両政府を追い詰めています。

 この連帯をさらに強め、広げ、発展させ、「米軍再編」と基地強化にストップをかけ、基地も軍事同盟もない平和な日本への道を開こうではありませんか。(大きな拍手)



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