2008年7月11日(金)「しんぶん赤旗」

洞爺湖サミット

海外メディア 厳しい目

“金持ちクラブの無力さ”


 九日閉幕した主要国首脳会議(G8サミット)が、地球温暖化や原油・食料価格の高騰など人類の生存にかかわる問題で有効な対策を打ち出せなかったことについて、海外のメディアは厳しい批判の目を向けています。

模範を示さず仏紙

仏紙

 【パリ=山田芳進】フランスの有力紙フィガロは九日付で、食料・燃料価格の高騰や地球温暖化など世界が直面している緊急の問題で説得力のある対策を提示できなかった先進国首脳会議(G8)について、「金持ちクラブの無力さ」と題する社説を掲載しました。

 社説は、米国のサブプライム問題に端を発する世界経済の混乱や食料・燃料価格の高騰に対して、石油の増産、農業への投資を呼びかけるにすぎず、その呼びかけが実際に聞き入れられるだけの条件をG8は持ち合わせていないと指摘。

 また温暖化問題でも、二〇五〇年までにCO2を(一九九〇年比で)50%削減するという目標は「ちっぽけな成果」でしかなく、「さらに落胆させる」のは、そうしなければ中国やインドが追随するわけがないと知っていながら米国を筆頭に先進国が(削減の)模範を示すことを拒否していることだと批判。

 G8はもはやこれらの問題を扱うだけの十分な枠組みを提供しておらず、その存在の正当性が崩れ去る前に、中国、インド、ブラジル、メキシコ、南アフリカなどに門戸を開くべきだと述べています。

昨年の提起だ

米紙

 米国のワシントン・ポスト紙十日付(電子版)は、G8サミットが環境問題の宣言で、二〇五〇年までに温室効果ガスの排出量半減を打ち出したことについて、「昨年メルケル独首相が提起したものであり、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が80%の削減を求めていることからすれば、つまらないものだ」と論評しました。

 この宣言で「記念碑的」なことは、ブッシュ大統領が「七年間の拒否、不活動、怠慢の後、ようやくやってほしいと嘆願されてきたことをやったことだ」と指摘しました。

 同紙はさらに、米国は地球温暖化が脅威となっているあまたの証拠を信用せずに他国から敵意をもたれ、他国は世界最大の温室効果ガス排出国の米国のリーダーシップを「むなしく」待たされたと説明。ブッシュ大統領が就任した二〇〇一年に比べ、気候変動対策の驚くような要求のコストは増大しているとして、「ブッシュ氏の頑固さの代償は高くついた」と論じました。



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