2008年7月10日(木)「しんぶん赤旗」

主張

洞爺湖サミット

「主要国」の名に恥じないか


 北海道洞爺湖町で七日から開かれていた主要国首脳会議(G8サミット)が閉幕しました。

 日本、アメリカなど主要八カ国に、アフリカ諸国や中国・インドなど新興国を交えて、多くの会合が重ねられました。G8が直面したのは、世界的な貧困と格差の拡大、原油や食料の急騰、地球温暖化問題、地域の平和など、文字通り地球的課題です。それに照らして、発表された宣言に盛り込まれた対策は、あまりに不十分で実効性を欠きます。「主要国」の責任が改めて問われます。

日・米が足を引っ張る

 対策の不十分さを象徴しているのが、最大の焦点といわれた地球温暖化問題です。異常気象のひんぱつや生態系の破壊など、地球温暖化への対策は待ったなしです。世界の科学者は温暖化による被害を防ぐために、温室効果ガスの排出削減をきびしく求めています。

 G8の宣言は、二〇五〇年までの世界全体の排出量50%削減を国連の気候変動枠組み条約締約国で「検討し、採択する」というだけで、G8が率先していつまでにどの程度の削減を目指すかについては明らかにしませんでした。発展途上国から強い反発があがり、主要排出国会議でも長期目標の合意に至らなかったのは当然です。

 先進国とりわけ主要八カ国だけでも、世界の温室効果ガス排出の四割以上を占めます。先進国は歴史的責任を自覚しふさわしい責任を果たすべきなのに、世界「共通の決意」だというだけで自らの責任を明確にしないのは、先進国の責任を棚上げにするものです。

 G8が求められている役割にふさわしい目標を掲げることができなかったのは、アメリカがあくまでも新興国にも長期目標を課すことに固執し、サミット議長国の日本もそれに従ったためです。文字通り、アメリカと日本がG8の足を引っ張ったのです。日本政府は直前の日米首脳会談でわざわざ「日米同盟の深化」を再確認してG8に臨む異常さです。日米両国政府の責任はきびしく問われなければなりません。

 世界の経済を揺るがしている原油や食料の高騰でも、G8は肝心の投機の規制で、実効ある対策を打ち出せませんでした。経済宣言は原油や食料の高騰が「世界のインフレ圧力を高める」と「懸念」を表明しているものの、その大きな原因となっている投機については、「透明性の向上」を求めるだけです。

 世界的なドル安と金融不安の中で、投機資金がドル資産を離れて商品市場に流入していることが原油や食料高騰の大きな原因になっています。先月末サウジアラビアで開催された産油国と消費国の会議でも、投機を規制するため「金融市場の透明性と規制とを改善」することで合意しています。アメリカなどに拠点を置くヘッジファンドの投機にさえ対策を打ち出そうとしないG8は、原油と食料の異常高騰で苦しむ諸国民を失望させるものでしかありません。

地球的課題への合意広げ

 地球温暖化にせよ、投機規制にせよ、G8だけに任せておいていいという問題ではありません。

 G8をはじめ先進国に果たすべき役割を果たさせ、地球的課題を前進させるためにも、世界の世論と運動を盛り上げ、国連や国際機関を含め、合意を広げていくことがいよいよ重要です。



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