2008年7月7日(月)「しんぶん赤旗」

列島だより

乱開発から住環境守ろう

心通わせ広がる連携


 大規模・乱開発、マンション建設に対して、各地で住民運動の連携が広がっています。「まちづくり・環境運動川崎市民連絡会(川崎まち連)」と「福岡・住環境を守る会」の活動を紹介します。


まちづくり、規制緩和…

法律のがれ許しません

川崎

 昨年五月二十七日、川崎まち連恒例のイベント「07乱開発現地ツアー」を行いました。マイクロバスなど車四台を連ねて市内六カ所をめぐり、地元住民とともに各地で集会を持ち、乱開発の実態と運動の現状の紹介を受けて交流しました。通しの参加者四十二人とあわせ二百人に達する行動となりました。

被害お構いなし

 六つの現場に共通して浮き彫りになったのは、周辺環境に及ぼす被害などお構いなく、利益最優先に走る開発事業者の企業論理むきだしの姿です。

 工業地域に日影規制がないことを利用し、隣接マンションに七時間半もの日陰被害を及ぼす高津区末長の長谷工超過密マンション、川崎市のアセス条例の面積要件一ヘクタールを超えているのに敷地分割し、時間差で建築してアセス逃れをはかるゴールドクレストマンション、規制条例成立後もその弱点をついて続いている地下室マンションなどなど。

 このあと、各団体とも精力的な運動を展開し、市議会の請願・陳情審査で長谷工、ゴールドクレストなどに計画の大幅な変更を求める三件の採択と、五件の趣旨採択を勝ちとる前例のない成果をあげました。しかし議会の議決に押されて指導にのりだした局長は、事業者のにべもない拒否に出合うと一転、「市には指導に従わせる強制力はない」との言い訳を繰り返して終わりでした。

 トナミ運輸が、国道246号沿いの大気汚染高濃度地区に大倉庫棟を建設し、屋上に百台を超える開放型駐車場を設ける計画では、環境悪化を心配する地元住民に対して一切の話し合いを拒否し続け、住民がやむなく申請した「紛争予防調整条例」の調停をさんざんひきのばした末に、市長の受託勧告を拒否。条例には、理由のない勧告拒否には社会的制裁措置として「事実の公表」の定めがあるのに、市は九カ月、事実公表に踏み切らないできました。

全国的ネットを

 住民の切実な要望には法をたてに冷たい対応をとる行政が、自治体の条例など歯牙にもかけないトナミ運輸のような業者には、卑屈な姿勢をとり続けることに批判が高まっています。

 根本的解決のためには、もともと公共的コントロールがあまりに弱い日本の建築・まちづくり法制と、その弱さを加速させる規制緩和政策を何とかしなければなりません。

 各地の建築紛争の住民運動と研究者・建築士・弁護士などの専門家、自治体議員が一堂に会した全国集会(五月十、十一日)を受けて、都市関連法の抜本改革を展望した全国的ネットワーク立ち上げの期待が高まっています。(小磯盟四郎「川崎まち連」事務局長)

あきらめない建築紛争

マンションで26団体

福岡

 福岡市の大きな道路沿いには、マンションが林立しています。住宅に占める「共同住宅」の割合は73%で政令指定都市の中では全国一です。

孤立無援に近く

 土地開発や建築優先の土地住宅政策が取られているので、低層住宅地の真ん中に高層マンションが建ったり、建築協定地域や地区計画地域のすぐ隣に高層マンションがそびえ立つ事態が頻発しています。しかし、多くの住民がまちづくりに積極的に取り組んだ経験がなく、これを支援する組織もないため、高層マンションの計画が持ち上がると周辺の一部の住民だけが立ち上がり、悪戦苦闘の運動を展開しながら、孤立無援に近い状態でした。

 景観法の成立にともなって住民によるまちづくりの重要性が叫ばれる中、二〇〇七年四月に福岡市内で高層マンション建設反対運動に取り組んでいる「名島台高層マンション対策委員会」や「愛宕浜の住環境を守る会」、「愛宕・景勝台の住環境を守る会」などの呼びかけで十団体が集まり、これまでの「地域だけのたたかい」では限界があり、互いに支援をする体制が必要であることで意見が一致しました。「福岡・住環境を守る会」が発足しました。

 十月には、福岡の呼びかけに応えて、北九州市の足立第一公団跡地マンション建設反対の会や鉄王一丁目の住環境を守る会を中心に北九州支部も発足しました。現在、二十六団体で、二週間に一度の定例会議を開いて、まちづくり運動の支援と個別のマンション建設反対運動の支援を行っています。

地元紙でも報道

 会が最初に取り組んだのは、『あきらめない!マンション紛争対策』(定価三千円)の発行です。定例会議の中で、「説明会の持ち方や反対看板の書き方が分からない」「反対運動の具体的なノウハウが書いてある本がほとんどない」という意見が出ました。それならこれまで現実にたたかってきたみんなで対策集を作ろうと、住民が自ら執筆して約三カ月間で作製しました。地元の新聞で大きく取り上げられ、大反響。三百部以上が売れました。

 福岡市南区花畑や中央区輝国では、大型マンション建設計画を断念させるという成果を上げてきました。北九州市の「足立第一公団跡地マンション建設反対運動」では、マンション販売業者が「マンション完成後の反対看板の撤去を求める仮処分申立」を行うなど、反対運動の封じ込めと思われる動きが出てきています。福岡・住環境を守る会では全国のマンション建設反対運動団体に呼びかけて泰平建設への抗議を呼びかけたところ、東京の方々の応援もあって大変な反響がありました。

 全国的な連携が大きな力を発揮することを確信しました。(幸田雅弘「福岡・住環境を守る会」代表委員)


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