2008年7月6日(日)「しんぶん赤旗」

生活守れ 数十万人デモ

韓国 野党・宗教団体も加勢

米産牛肉輸入撤回など要求


 韓国で五日、米国産牛肉輸入再開への反対をはじめ国民生活の安全確保を求める集会とデモが首都ソウルなど各地で行われました。先月十日に続き全国で数十万人が参加。李明博(イ・ミョンバク)政権が推進する政策が対米関係と企業利益を優先しているとして、国民生活の安全を守る政策に転換するよう求めました。(面川誠)


 約千八百の団体でつくる狂牛病対策会議が呼びかけた集会の名称は「7・5国民勝利宣言ろうそく大行進」。労組や多数の信者を持つキリスト教団体のほか、社会運動には消極的だった仏教団体が加勢し、統合民主党、民主労働党、創造韓国党など野党各党の国会議員も参加しました。

 五月からほぼ連日続いている集会・デモは、BSE(牛海綿状脳症、狂牛病)に不安を感じる市民の牛肉輸入反対行動が発端。しかし批判の対象は次第に李政権の主要政策全般に拡大しています。

 李政権は「企業が活性化すれば労働者にも利益が回る」と主張し、大運河開発や公営企業の民営化方針のほか、米韓自由貿易協定(FTA)による大幅な市場開放を公約。こうした新自由主義的な政策は環境破壊、農業衰退、失業などをもたらし、国民生活をいっそう悪化させるとの批判を招いています。

 韓国では一九九七年の経済危機後、非正規労働者が急増し貧富の差の拡大が深刻化。今年二月の李政権の発足後は、原油や食料品の輸入価格高騰による物価高で、国民生活は苦しさを増しています。

 参加者の一人は「政府への不満が理由でこれだけの人が街頭に出たのは、一九八七年六月に軍事独裁政権を倒した運動以来だ。生活の安全という身近な問題だから主婦もいるし、政治的には保守的な人も参加している」と語りました。

 李大統領は六月十九日に国民向けの談話で牛肉問題をめぐる混乱を謝罪しました。しかし、月齢三十カ月未満との条件付きながら牛肉輸入を再開した上、集会を主催した市民団体の幹部を集会・デモ法違反容疑で次々と逮捕。こうした強硬な姿勢に再び国民の批判が高まりつつあります。


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