2008年7月6日(日)「しんぶん赤旗」

被爆の苦しみ今も

心身の被害 シンポで訴え

東京


 原爆の残留放射線による被害や被爆者の心の被害について考えるシンポジウム「原爆症認定集団訴訟があきらかにしたこと」が五日、東京都内で開かれ、約百五十人が参加しました。「被爆者の声をうけつぐ映画祭二〇〇八」(明治大学軍縮平和研究所、同実行委員会主催)の一環です。

 集団訴訟東京高裁原告の西本治子さんは、七歳のときに長崎で被爆し、「街がなくなってしまう」というショックから、不安が今も消えないといい、心身ともに先の見えない闘病生活を送ってきたと語りました。「国は実情に合わない認定審査をあらためるべきです。福田首相は原告全員を原爆症と認め、戦争と核兵器使用を二度とさせないと誓って」と訴えました。

 東京訴訟弁護団の中川重徳事務局長は、訴訟を通じて、残留放射線による被ばくや内部被ばくの影響と、被爆から六十三年間たっても被爆者を苦しめつづけている核兵器の残虐さがあきらかになったとのべ、国が九連敗しながら争う姿勢を崩さないと批判しました。

 被爆者の精神医療に携わってきた精神科医の中沢正夫氏は、被爆者の多くに強烈な被爆体験による記憶の欠損や時系列の乱れ、家族や友人を見捨てた罪悪感がみられ、いまも「あの日」の記憶に苦しんでいると紹介し、「心の被害を補償させたい」と話しました。

 会場からは、「五千人の小中学生に被爆体験を話したが、語る前夜は体験を思い出し眠れないほどつらい」との発言や、「心の傷について被爆者に聞いてもいいのか」などの質問がありました。



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