2008年7月1日(火)「しんぶん赤旗」

主張

洞爺湖サミット

「市場の失敗」に問われる対応


 七日から三日間の日程で、北海道の洞爺湖でG8サミット(主要国首脳会議)が開かれます。

 一九七五年十一月に、フランスのランブイエで開かれた第一回サミットは、米国の金・ドル交換停止、変動相場制への移行、第一次石油危機などによって、世界経済が大不況とインフレーションにみまわれ、資本主義世界の危機が深まるなかで開かれました。

「資本主義の限界」論も

 ランブイエから三十四回目を迎える洞爺湖サミットも、米国発の世界的金融危機、投機マネーの横行による原油や穀物価格の高騰、地球温暖化の進行、世界的な貧困と格差の拡大など、資本主義世界経済のあり方が深く問われる情勢のなかで開かれます。最近の世界経済の混迷の深まりは、「資本主義の限界」という表現がマスメディアでたびたび使われるほどです。

 日本政府は、洞爺湖サミットの議長国として、「世界経済の諸問題」では、金融市場の安定化、原油価格や穀物価格高騰への対応、インフレ懸念のもとでの持続的成長の実現などをかかげています。

 また「環境・気候変動の課題」として、地球環境問題でのイニシアチブの発揮、温暖化防止の二〇一三年以降の次期枠組みの推進などをあげています。

 こうした課題に取り組むうえで大事なことは、今日の世界経済の困難をつくりだした要因を深く検討し、実効ある対策を実行する国際的協調を真剣に追求することです。過去のサミットのように、課題を列挙して、抽象的な方策を羅列するだけでは、現在の危機的情勢を打開する道は開けません。

 たとえば、政府がかかげる経済課題の一つである「原油・穀物高騰への対応」でも、ヘッジファンドなど世界的な投機マネーへの規制策を抜きにすることはできません。金融危機や投機マネーの横行をまねいた原因と正面から向き合い、実効ある対策を提起できるかどうかが問われています。

 さらに、地球環境危機の深刻化も、投機マネーの横行も、いずれもその背景には、利潤第一主義の経済活動の行き過ぎによる「市場の失敗」があります。こうした「市場の失敗」に拍車をかけてきたのが「新自由主義」の市場原理主義のグローバルな押し付けです。

 いま必要なことは、こうした利潤第一主義による「市場の失敗」にたいし、野放図な市場任せでない責任ある国際ルールをめざして、各国がそれぞれの責務をしっかりはたすことです。

 日本共産党は、洞爺湖サミットをまえにした六月二十五日、見解「地球温暖化の抑止に、日本はどのようにして国際的責任をはたすべきか」を発表しました。そして日本としての国際的責任をはたすために、政府に、温室効果ガス削減の中期目標の明確化など「三つの転換」を提起しました。

重い議長国の責任

 また志位委員長は発表のさいの記者会見で、原油や穀物の価格高騰が世界で大問題となっているもとで、「投機マネーの規制を重要議題と位置づけ、国際的に協調した規制に踏み出すことを強く求めたい。これができないならば、資本主義として世界経済を管理する能力なしと言われても仕方がない」と強調しました。

 サミット参加国、とりわけ議長国・日本政府の責任は重大です。



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