2008年6月29日(日)「しんぶん赤旗」

仏核実験の被害償え

元軍人ら政府を提訴


 【パリ=山田芳進】フランス政府が過去に行った核実験に参加したためがんなどの病気になった元軍人たちの組織が二十七日、「危険にある個人に対する援助の欠如」を理由に、政府を相手に被害者への補償を求めてパリ大審裁判所に提訴しました。

 提訴したのは、核実験にかかわった軍人や住民でつくる「フランス核実験の犠牲者たち」という組織。約二百人の会員は、仏政府がアルジェリアのサハラ砂漠や南太平洋の仏領ポリネシアで行った核実験の放射性降下物が原因で病気に苦しんでいると主張しています。

 同組織のポチエ会長は、「多くの会員が、がんや腫瘍(しゅよう)を患い、化学療法を余儀なくされている。しかし仏政府は防衛上の秘密を理由に、犠牲者が浴びた放射線量を公表することを拒んでいる」と非難。また同組織の弁護人ドチエンダ氏は「被害に遭った元軍人に対し、政府は彼らの病気が核実験の結果だと証明することを要求している」と政府を批判しました。

 仏政府は、一九六〇年から九六年の間に、二百十回の核実験を行ったとされます。

 核実験の被害者が放置されている問題については、今月三日に支援団体「真実と正義」が仏上院で記者会見。米国、英国、オーストラリアが核実験の影響を認め、一定の条件のもとで何らかの形の補償を行っているのに対し、フランスは、被害者に補償を受ける権利を認めていないとし、核実験の影響を認め、被害者に正当な補償をするよう求めています。



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