2008年6月28日(土)「しんぶん赤旗」

論戦貫いた156日間

日本共産党と第169通常国会(5)

米軍特権

質問にメディア注目


写真

(写真)日本共産党の井上哲士参院議員が暴露した、米兵受刑者の食事の優遇ぶりを報じる『週刊ポスト』(6月13日号)

 今国会が開会してまもなく発生した米海兵隊員による女子中学生暴行事件(二月)は、基地を抱える自治体・住民に衝撃を与えました。

 「基地ある限り米軍犯罪はなくならない」。日本共産党の赤嶺政賢議員は、三月十八日の衆院本会議でこん身の力で告発しました。神奈川県横須賀市では、脱走米兵によるタクシー運転手殺害も発生。全国で相次ぐ米兵犯罪にどう立ち向かうのかが問われました。

 同時に、イラクやアフガニスタンに出撃し、日本国内では事件・事故を繰り返す在日米軍に卑屈なまでの特権を与え続ける日本政府の立場も、国会審議の焦点の一つになりました。

米軍にも衝撃

 日本共産党は、特権の実態を突き付けて追及し、マスメディアからも大きな注目を浴びました。

 「これでは、米兵が日本で罪を犯しても大したことではないという意識を生み出す」

 日本共産党の井上哲士議員が、こう告発したのは、米兵受刑者の食事の特権的優遇です。(四月二十二日の参院外交防衛委員会)

 米兵受刑者を収容している横須賀刑務所で、日本人受刑者に「まぜめし」「煮浸し」といった夕食を出す一方、米兵には「ペッパーステーキ」「ビーフヌードルスープ」などなど…。フルーツやデザートもほぼ毎食欠かさず出され、その差は歴然としています。政府は、厚遇の根拠に、日米地位協定に基づく日米合意を挙げています。

 井上氏には、マスメディアの取材が相次ぎました。「“思いやり”塀の中も」(神奈川新聞、六月八日付)、「卑屈なほどに米兵に手厚い『地位協定』の縮図」(『週刊ポスト』六月十三日号)などと批判しました。

 地位協定は、米軍が有料道路を使っても、料金が課されないことも定めています。免除された料金は、日本政府が肩代わりしているのです。

 井上氏は、ディズニーランドなど観光旅行のバスツアーや、レジャーで私的に使うレンタカーの高速料金まで含まれていることを暴露しました。(四月十七日の参院外交防衛委)

 米軍準機関紙「星条旗」も、井上氏の追及を異例の報道。米軍は、この追及後に、横田基地のホームページの該当個所を削除しました。米軍が受けた衝撃の大きさを物語るものです。

 特権は、さらに―。

いつまで続く

 今国会で日本政府は、在日米軍への「思いやり予算」を続ける新たな日米特別協定の国会承認を迫ってきました。

 「思いやり予算」は、在日米軍の維持経費について米側が負担すると定めた地位協定にも違反する支出です。特別協定は、政府が「暫定的な措置」として一九八七年から始めたもので、今回は五回目の延長でした。

 「一体いつまで続けるつもりなのか」

 日本共産党の笠井亮議員が、その異常さをただしたのに対し、福田康夫首相は「今から予断をするべきではない」と述べ、廃止のめどさえ示しませんでした。(四月二日の衆院外務委員会)

 同協定の採決では、前回の延長で賛成した民主党も反対に回り、参院では否決されました。衆参両院のいずれかで条約が不承認になったのは初めてのことです。(つづく)


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