2008年6月25日(水)「しんぶん赤旗」

NHK経営委員長 資格が問われるのでは?


 〈問い〉 NHKの古森重隆経営委員長が自民党国会議員の励ます会に出たそうですが、公共放送をになう資格が問われませんか。(愛知・一読者)

 〈答え〉 古森委員長が出席したのは、今年の2月26日に開かれた自民党の武藤容治衆院議員の「励ます会」でした。富士フイルムホールディングス社長の肩書で紹介されたものの、「NHKの経営委員長を仰せつかりまして苦闘しております。みなさんの応援をよろしくお願いします」と、経営委員長の立場を明示してあいさつしました。

 公共放送NHKには不偏不党が求められることは言うまでもありません。そのNHKを管理監督する立場の経営委員会のトップが、特定の政党議員の励ます会に出席することは、本来なら慎むべき行為です。

 古森氏は国会答弁や経営委員会で、「武藤議員は富士フイルムの元社員で、当社の総務課を通じて出席した」「企業の社長と経営委員長の立場は切り分けている」と弁明しています。

 しかし、古森氏は励ます会の単なる出席者でなく、「発起人」であることも明らかになっています。さらに問題なのは、武藤議員がNHKの国営放送化を目指すと主張する与党国会議員の集団「NHK放送産業を考える議員の会」のメンバーであることです。同議員のホームページには、「(NHKは)国営放送の位置付けが必要であるという認識から会を立ち上げ、今後国営放送のあるべき姿など提言していく」と書いています。

 国家権力によって強い統制を受ける国営放送と、国家権力から自立し視聴者の受信料で支えられる公共放送の立場はまったく相いれないものです。6月10日の参院総務委員会で、日本共産党の山下芳生議員は「こういう考え方を持つ議員の励ます会に、現職の経営委員長が発起人となり、あいさつするのは問題。今後は出席すべきでない」と追及しました。しかし、古森氏は「仮定の話には答えられない」と開き直るなど、反省の色はまったくありません。

 もともと古森氏自身、NHKの国際放送で政府の見解を重点的に伝えることが「国益」と言ってはばからない人物です。こうした古森氏の言動に対し、「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」などの市民団体は、「NHKが放送法の定める『放送の不偏不党』『表現の自由』が侵され、NHKが『国営放送』に変質させられると危ぐする」と指摘し、経営委員長の罷免を申し入れました。(研)

〔2008・6・25(水)〕


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