2008年6月22日(日)「しんぶん赤旗」

強制減反の押し付けやめ価格保障でコメ増産を

千葉・農業シンポ 志位委員長が発言


 日本共産党の志位和夫委員長は二十一日、千葉県香取市で開かれた農業シンポジウムで報告を行い、政府による強制的なコメの減反押し付けを批判するとともに、「自給率向上」を柱とする日本農業再生の道筋を語りました。シンポは党県委員会、同香取市委員会の主催です。


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(写真)基調報告する志位和夫委員長=21日、千葉県香取市

 志位氏は、「食料不足・高騰は、世界的危機ともいうべき状況を呈している」として、国連機関も「静かな津波は、すべての大陸で一億を超える人々を飢餓に陥れる恐れがある」(国連世界食糧計画)と危機感を表明していることを紹介しました。

 志位氏は、価格高騰の一因をつくっている投機マネーを抑えるために「国際的な協調行動が必要だ」と強調。農業や漁業への緊急の負担軽減策を訴えました。

 同時に、「食料危機の根本には地球的規模での食料不足がある」として、六月初めに開かれた食料サミットが「食料生産を強化する…ために必要なあらゆる手段を講ずることを固く決意する」と世界的規模での食料増産を宣言したことを紹介しました。

 こうした世界にあって日本の食料自給率(39%)の向上は待ったなしだとのべ、自民党農政の根本的転換をはかる日本共産党の「農業再生プラン」の四つの提言を詳しくのべました。

 この中で志位氏は、政府による強権的なコメの減反押し付けを批判。「世界的な食料危機のもとで減反政策を拡大することは本当に矛盾している」と強調しました。

 コメの繰越在庫をみると、在庫過剰なのは輸入米で、国産米は三年連続で二十万トンを超えるマイナスで、すでにコメ不足に陥っています。そのうえ、小麦高騰でパン・めんの価格が高くなり、相対的に安くなったコメの需要が高まっています。

 こう明らかにした志位氏は、それなのに政府は今年はさらに減反を十万ヘクタール積み増せといっていることを告発。「コメを輸入しながらの減反は根本的に見直せ。強権的な減反押し付けはやめよ。価格保障によってコメ増産をはかるべきです」と訴え、力強い拍手に包まれました。

 また、政府の「経営所得安定対策」(「品目横断対策」)の支援対象となるには、生産調整への参加が条件であり、超湿地帯が多い北総地帯(千葉県北部など)では、コメからの転作は困難だと指摘。支援対象農家の申請状況は昨年の実績でみると、千葉県の水田面積全体のわずか2・5%であり、97・5%は切り捨てられると告発しました。

 さらに志位氏は、世界では、WTO(世界貿易機関)が中心になってすすめてきた食料を市場まかせにするやり方の害悪が明らかになるもとで、各国の「食料主権」を保障する貿易ルールを求める流れが広がっていると指摘しました。

 もともとWTO協定は、食料が余っていて、輸出競争が主要な側面だった時代に輸出補助金の削減と貿易の拡大を課題として結ばれたものであり、そのために関税などの輸入障壁を撤廃したり、生産刺激的な政策を中止・削減するということが大きな枠組みだったと解明。その上で「現在は食料が余っているという大前提が崩れて、世界的に食料はひっ迫した状況にある。WTO協定は抜本的に見直すべきだ」と訴えました。

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