2008年6月16日(月)「しんぶん赤旗」

ゆうPress

学費ゼロ 私大でも

早稲田大学ZEROネットの挑戦

“高学費は人生を左右する問題”


 全国の私立大学で毎年1万人が経済的理由で中退―。「お金の心配なく学びたい」と、学生たちが学費負担の軽減へ立ち上がっています。(学生は一部仮名)染矢ゆう子


 「こんにちは。早稲田大学の学費ZEROネットです」。スーツに身を包み、首から「学費ZERO調査員」の身分証をさげたメンバーが、中庭や校舎で昼食を食べているグループに話しかけ、アンケートを手渡します。

 「日本の学費は世界で一番高いってご存じですか? 困っている実態を、国会にもっていったり、当局と交渉したりして、引き下げたいんです」との訴えに、多くの人が応じます。

毎日、水風呂

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 「書かない」といっていた人も、「うち4人兄弟でまじやばいんだ」という友だちの声を聞いて「書くよ」となったり。

 先月、2日間で203人の声が集まりました。

 ネットのメンバー、有希さん(人間科学部4年)は「私たちが聞いたその前日に水道が止められた人もいたし、ガス代が払えず、毎日水風呂に入っているという人もいました。みんな身なりもよくて、聞かないとわからなかった」と話します。

 雄介くん(商学部3年)も「法曹をめざしているのに学費が払えずロースクールに行けないとか、学費を稼ぐため夜勤漬けで留年が決まり奨学金を止められたとか、人生を左右するほど切実な問題。若者が生きいきするには、学費を下げなければ」と力をこめます。

 学費ZEROネット東京は「学費の負担軽減と大学予算の増額」を求める個人のネットワークとして、5月30日に東京都学生自治会連合のよびかけで結成されました。

世界に遅れる

 早稲田大では、結成にむけた学習会に1年生の和也くん(政経学部)が参加し、「日本の学費が世界一高いことを初めて知った。困っている学生の実態を伝えたい」とネットに加わったことから、アンケート調査が始まりました。

 友だちの夏夫くん(法学部)も「うちも親の年収は400万円以下。卒業するまでは親の役目だから、と父は教育ローンを組みました。受験生の時に東大の免除制度を新聞で知って、入学したら自分も運動したいと思っていた」とネットに加わりました。

 日本の学費が世界で特別に高く、多くの国が無償になっていることはあまり知られていません。学費無償化をすすめる人権規約に批准していないのは日本、ルワンダ、マダガスカルだけという説明に、「日本はそんなに遅れていたの?」と、運動に共感が広がります。「署名を集めます」「いっしょにやりたい」という人も少なくありません。6月もひきつづきアンケート調査をおこなっています。

 「私大だから財政上のムダをなくしたり、学生のために工夫できることはあるはず。学生の声をもっと大きくし、実際に学費を下げられるような運動にしたい」と有希さん。ZEROネットの挑戦はつづきます。

高学費で困っていること、不安なことは(200人の複数回答)

●学習時間を削っている…18人
●必要な教科書が買えない…23人
●バイトを多めにしている…41人
●食費を削る…49人
●バイトで睡眠時間を削っている…17人
●大学院進学をあきらめた…15人
●親や兄弟に苦労をかけてつらい…90人
●兄弟や友人に、高学費のせいで大学進学をあきらめた人がいる…18人
●一人暮らしをあきらめ通っている…46人

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東大の免除制度 全国に広げたい

 東京大学教養学部学生自治会委員長(2年) 東京大学ではことしから親の年収が400万円以下の人の学費免除が始まりました。1年生にアンケートをとると「受験勉強に集中できた」「親が安堵(あんど)した」と制度を歓迎する声がたくさんありました。「去年入学して、母親が学費のためにパートで働きうつ病になった。あと1年早く制度ができていたら」という2年生の声が忘れられません。ほかの大学でもすぐにでも実行すべき制度です。副学部長も「本来国がやるべき免除制度だ」と話していました。学生が声をあげてできた制度です。声をあげれば実現できます。

日本共産党

私大授業料の直接助成を求める

 日本共産党は、東京大学の授業料免除制度をすべての国立大学に広げることや、親の年収が400万円以下の私立大学生に国が直接授業料を助成する制度の導入などを提言しています。


お悩みHunter

役者になるには整形した方が

  役者をめざしています。目を二重にして、鼻筋もすっきりとさせる整形手術を受けようか迷っています。友達もやっているし、手術すればオーディションなどで有利と思う半面、ちょっと怖い気もします。(東京都、20歳、女性)

人間性磨き芸術性高めてこそ

  整形手術は必要ないです。整形手術をするお金があるならば、そのお金を、人間としての幅を広げるために使った方が良いでしょう。

 役者は人間性を磨くと同時に、役者としての技能を身に付けなくてはなりません。

 演劇、映画、音楽、美術など、さまざまな芸術にふれると同時に、いま社会でなにが起きているか、過去になにがあり、どんな未来に向かおうとしているのか、世の中を自分の目でしっかり見据えなければなりません。

 日本だけでなく、海外の芸術、地球上で今なにが起こり、なにが問題になっているのかも知る必要があります。

 技能を身に付けるには、日本舞踊、バレエ、ボイストレーニング、声楽、気功やさまざまな身体訓練をし続けなくてはなりません。それも日本だけでなく、海外で学ぶことも自身の芸術性を高めることにつながります。

 顔、形ではなく、芸術性を磨くことに焦点を切り替えた方が良いでしょう。二重で鼻筋が通っていても、人間性に乏しく、芸術家としての輝きがなければ、役者にはなれません。

 一重で鼻ぺちゃでも、人間性が豊かで、芸術家としての輝きがあれば、魅力的な役者になれるでしょう。

 役者はモデルではありません。さまざまな人間の人生を追体験し演じます。そのために、なにをすべきか、もう一度考えてください。


舞台女優 有馬 理恵さん

 「肝っ玉お母とその子供達」など多くの作品に出演。水上勉作「釈迦内柩唄」はライフワーク。日本平和委員会理事。


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