2008年6月15日(日)「しんぶん赤旗」
パレスチナ占領は重荷
イスラエル NGOが指摘
【カイロ=松本眞志】イスラエルのテルアビブに本部を置く非政府組織(NGO)の「イスラエルの平等と社会正義にかんする情報」(アドバ)はこのほど報告をまとめ、「パレスチナとの長引く紛争は、イスラエルの重荷となっている」と指摘しました。
報告は、「パレスチナとの紛争はイスラエルの経済成長を妨げ、国家予算の負担となって社会的発展を制限し、国際的立場を損ない、軍を消耗させ、政治的分裂を促進し、将来におよぶユダヤ人国家の存続を脅かしている」と指摘。旧ソ連圏やエチオピアからのユダヤ系移民の流入に加えてパレスチナとの紛争が、一九七〇年代以来、イスラエル国内の貧困層が倍加した要因になっていると主張しています。
イスラエル政府は、ヨルダン川西岸地区で建設中の分離壁に約三十九億ドル(四千九十五億円)を費やし、この十年間で軍事費を百七億ドル(一兆千二百三十五億円)増額しました。増額分は、〇八年度の教育予算よりも多いといわれます。
イスラエルの経済成長率は十年間で43%と国際平均の67%を下回っています。そのもとで〇一年から〇五年に、児童手当の45%、失業手当の47%、所得補助金の25%がカットされています。
アドバのシュロモ・シルスキー氏は、パレスチナの「マアン通信」とのインタビューで、「イスラエル人は、イスラエル・パレスチナ紛争の継続に対する損失がないかのようにふるまっているが、占領の重荷を認識する必要がある」と語っています。
入植地に住宅1300戸
自治政府 “平和を破壊”と非難
イスラエル
【カイロ=松本眞志】イスラエル内務省のサビネ・ハダド報道官は十三日、イスラエルが不法に占領している東エルサレムのユダヤ人入植地・ラマトシロモで千三百戸の新住宅建設を許可したと述べました。アラブ首長国連邦紙ガルフ・ニューズが伝えました。
イスラエル政府は一日、東エルサレムの別のユダヤ人入植地二カ所で計八百八十四戸の住宅を建設すると発表したばかり。パレスチナ自治政府のアリカット交渉責任者は「イスラエル側による平和の破壊を意図する計画を断固として拒否する」と非難しました。
昨年十一月の米アナポリス会議でイスラエルは、ユダヤ人入植地の拡大活動を停止することを確認。しかし占領下にある東エルサレムは「イスラエル領」との立場に固執しています。

